人気ブログランキング | 話題のタグを見る

赤い電車は白い線

khkar2.exblog.jp
ブログトップ
2011年 10月 03日

近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)

近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21235675.jpg

京阪大津の「HO-KAGO TEA TIME TRAIN」613Fとの遭遇に沸いた刻は瞬く間に過ぎ、明けて迎えた
9月29日の湖国の朝。次なる目的地は私が地方私鉄で最もリピートして止まない近江鉄道です。と・・・その本編前に
これまでの訪問記録に基づいて近江鉄道800・820系の気になるディテールについて息抜き的に纏めたいと思います。

近江鉄道800・820系は西武鉄道の401(Ⅱ)系を近江鉄道向けに改造のうえ運行されている形式でして、
800系がフロントマスクを一変させているのに対して820系はオリジナルの切妻・非貫通顔を保っているのが特徴です。
今回は判明分のみでありますがそれらの編成毎の屋上周辺ディテールについて纏めてみます。尚、記録期間がおよそ
2年程度に亘っているので必ずしも最新の現状と整合しない場合もあります事をご承知おきください。



近江鉄道800系は総11編成、820系は総2編成が在籍しています。特に注目すべきは820系821Fで、
本年2月頃までは手入れのなされない状態で彦根構内に長期留置され「廃車前提」とも「再起は無い」とも
囁かれていたのです。ところが春先に私が彦根を通りがかった際に821Fと思しきクルマがピカピカになって整備中!?
という目を疑うような場面を目撃し、今回の近江入りではその奇跡のカムバックを果たした元気な姿に接せられたのです。

他方800系はというとどれも同じ顔をしていて没個性的かと思いきや、時に「鳥の目線」になったりしながら
屋上に注目すれば、よくもまあここまで個性的に仕上げたものだ!と感心するバラエティー。そう、それは主にクーラー
ランボードの脚にあるのです。以前に近江鉄道モハ220形について同じような内容の記事を纏めた事がありますが、
今回の記事は要はそれの800・820系的な内容ものと言って差し支えないでしょう。
以下、簡単にダイジェストを・・・。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_2116387.jpg

★全撤去車(モハ1801♯山側)
モハ220形の記事では並走する東海道本線に倣って「海側・山側」の呼称をとりましたが、本記事からはそれを逆転させ
改め、本線基準で「山側・湖側(琵琶湖側)」と表記させていただきます。まずは800系801Fのモハ1801の
山側ですが、クーラーランボードが脚を含めて撤去されています。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21201294.jpg

★全撤去車(モハ802♯山側)
これも同様ですが、パンタ車であるので引き通し線があるのが特徴。ただやはりランボードが無い分スッキリしています。
またこの802F他張り上げ屋根車グループの一部はクーラーキセをSUS製にしています。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21234915.jpg

★撤去途上?車(モハ1802♯湖側)
こちらはモハ802の相棒モハ1802ですが、その湖側クーラーランボードは800・820系グループ中最大の
「変態」仕様となっています。通常、クーラーランボードの脚は8脚ありますが、このモハ1802♯湖側はクーラに
向かって左側から順に1~8番でナンバリングした場合、1~4番は残存し5・6番は板のみ撤去、そして7・8番は
脚も撤去というまるでランボード消滅の過程が残されたままのようになっています。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21305814.jpg

★脚のみ残存車(モハ1811♯湖側)
こちらはもう・・・まるで河に取り残された橋脚のようですね。もはや撤去する手間やコストも惜しまねばならないのか、
却って屋上作業時には危ないような気もしますがそんなの関係無いんでしょうねぇ・・・完全に天然です。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_2031357.jpg

★特異な現状(モハ822♯山側)
ランボード本体はフルで残っていますが、その脚がクーラーに向かって最も左側(1番)が消失してしまっています。
また反対の湖側はというとやはりクーラーに向かって最も右側(8番)の脚が消滅、つまり線対称で脚が1脚ずつ
失われているという特殊な現状を有しています。これは確認の範囲では800・820系中唯1両の存在です。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21282778.jpg

★オリジナル状態(モハ420(西武車番)、部品供給用)
続いてパンタ回りのランボードですが、元車の西武401(Ⅱ)系は画像のモハ419の通りパンタを2基有していました。
近江鉄道では連結妻寄の第2パンタは撤去されていますが、その処理方やランボードの有無についても違いがあります。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21344117.jpg

★全撤去車(モハ801)
第2パンタのランボードですが配管のある山側については残存させているのがデフォですが、この801Fモハ801のみは
例外中の例外で撤去されてしまっています。やはりファーストナンバーというのは一癖あるようですね。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_2137273.jpg

★湖側のみ撤去車(モハ804)
800・820系のモハP車で一番多いパターンで、この場合はパンタ台も撤去されています。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_21395791.jpg

★パンタ台まで残存車(モハ802)
単純に第2パンタの撤去に留めただけのもので、オリジナルに近い形態を保っています。これのパンタ台撤去バージョン
(モハ807)も居たりしますから、先のクーラーランボードと併せてもその百花繚乱振りが窺い知れましょう。
近江鉄道800・820系に見るディテール(屋上周辺)_c0155803_11163767.jpg

そしてこれらの現車調査の集成として、やっつけ感が満点ですが屋上形態分類リストを造ってみました。その凡例ですが
クーラーランボード欄の数字は取付け脚に付与した便宜的な番号で、それぞれの側面においてクーラーに向かって左側から
ナンバリングし、湖側の1番と山側の1番は点対称となります。

「脚のみ」とあるのは取付脚のみの現存を示し、「2~7有り」というのはランボード本体も取付け脚も2番から7番まで
(の長さ)の現存を示します。また各項目における「有り」は完全現存を示し「無し」は完全消滅の状態を示します。
張り上げ屋根編成は802F、808F、809F、810F、821F、822Fですが、このうち確認の範囲では
モハ802、モハ808、モハ810、モハ1810のクーラーキセはSUS製となっています。

果たしてこのリストが役に立つ見込みも予定も全く無い上に未調査・未確認の部分もありますが、そこは根っから
近江に惚れ込んだ者の性!こんなにも面白い電車を目の前にして調べらずにはいられなかったのです。
車体本体の形態分類については・・・これはいずれかの近江行でおいおい積み重ねて行きたいところです。

by ar-2 | 2011-10-03 21:23 | 近江鉄道


<< 湖国大観(2日目その1・湖東縦...      湖国大観(1日目その3・「HO... >>