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赤い電車は白い線

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2010年 05月 17日

2010・5・16 京急白紙ダイヤ改正の印象と表情

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まず、5月15日の記事中における「空港線第一京浜国道踏切廃止」という表現についてです。
これは私自身が事前に得ていた「同踏切の仮高架化」というリーク情報について、私自身の思い込みから「廃止」という表現を導いてしまったものでして、実際には廃止とはならず第一層高架線の供用開始による「単線並列化」が正しい表現となります。このような誤った表現を公としてしまったことをお詫びし、今後の記事化においては事前事実確認の徹底を能う限り習慣付けていきたいと思います。

改めまして、5月16日に京急は新列車種別「エアポート急行」の新設を軸とした白紙ダイヤ改正を行いました。具体的な施行内容はプレスリリース等を参照いただくとして、私としてもその表情が気にかかり後日取材を行う予定でした。しかしここ数日の早朝出勤による寝不足解消のために昨晩は早々に就寝、おかげで今朝(16日)は早い時間に目が覚めてしまい、もののついで?ということで出勤を京急経由としてその表情の一端を窺ってきました。



前述の「エアポート急行」は、これまで対横浜方面の快特に併結されてきた附属4連の発展系ともいうべきものでして、即ち2002(平成14)年10月改正からの20分ヘッドでの同運行形態は、その後の旺盛な需要により便によっては時に飽和状態となり、斯様な事態解消を図るべく快特から「分離独立」させたのがこのエアポート急行ということなのです。

種別にあえて「エアポート」を冠したのは空港アクセスを強調するものと捉えられますが、かつて蒲田以南にも存在した急行(平成11年改正で廃止)とは停車駅がことごとく異なるので、それとの違いを明確化する意味合いもあったのではと私は思いました。何はともあれ蒲田以南に11年ぶりに「普通車+三種別」の時代が甦るというのですから、歴史なんて判りませんね。それほど当時の改正時の「原則として普通と快特の二種別化」のインパクトはあまりにも大きかったのです。
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とにもかくにも出勤時とは思えない?ようなウキウキ気分で京急ホームへと向かいます。ホームの発車案内には早速新種別が・・・。先発の普通車の摘要欄がオカシイのはプログラムミスでしょうか(最上段に移動しても同じでした)。
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上りよりも先に下りにエアポート急行が来るとのことで目をやれば・・・なんと、2000形の8連です!前述の平成11年改正における蒲田以南の急行廃止以後、3扉化された8連の元・ロマンスカーの役回りは専ら平日の朝夕のみで、ダイヤ乱れや三浦国際マラソン臨ぐらいでしか土休日やデータイムの出番はありませんでした。それが今改正での「8連線内急行復活」により状勢は大きく変わったようです。これが最後の大輪の花なのか、却って走行キロが伸びて寿命が云々・・・とも思えなくも無いですが、何あれ「いま一度、大舞台へ」の感もひとしおの大抜擢に拍手を送らんものです。
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やがて上りのエアポート急行が入線・・・ですが先頭の車番を見て「!」
何と4連×2の8連でやってきました。線内運用ですからこの組成自体問題はありませんが、4連×2と言えばかつての朝の15Bから3A(1)へと流れるスジや増結車を纏めた89Cか、よほどのダイヤ乱れの時ぐらいにしか思い浮かばず正直驚きました。ちなみに本日のデータイムにおけるエアポート急行運用7本の内4本は2000形8連で、あとの3本は4連×2によるものだったそうです。
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車両は見慣れど種別は全く新しい「エアポート急行」。日曜の朝方ということもあってかそのキャパは十分な余裕があり、初乗り組みを除いてしまえばむしろガラガラになってしまうであろう程度です。次の停車駅は仲木戸(JR東神奈川乗換え駅)でして、神奈川を一駅だけ通過する感覚も新鮮そのもの。そして神奈川新町では上り副本線に入り特急に道を譲ります。新町におけるC特急(2100形)とD急行(N1000形)の接続・・・優等列車本位を軸とする京急を象徴するようなシーンです。
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新町を後にして次は京急鶴見に停車、普通車に接続します。ここから乗り合わせた二人連れの旅客は今日から運転開始の「羽田空港直通」ということで珍しげにはしゃいでいます。「なんか方向違いだよね!」なんて感想もむべなるかなですが、逆に言えば地味ながらも朝・夜間に普通車の羽田空港行が存在していたことは殆ど認知されていないようです。とはいえこれは尤なことでして、一日数本の存在からと20分ヘッドとなるのとではまさに雲泥の差なのでしょう。

そして京急川崎着。私はここで普通車に乗り換えるべく下車して「エアポート急行」を見送ります。画像はその後に撮影したもので、判り辛いですが左から2000形下りエアポート急行、1500形下り快特、600形上り特急という「三種別」の凝縮を試みたものです。
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川崎から普通車に乗車し、いよいよお待ちかねの上り線切り替え区間へと進みます。六郷土手を発車してすぐに切り替え部に達します。思えば京急における「新線」の開設は1998(平成10)年11月18日の天空橋~羽田空港間開業以来ではないでしょうか。京急にとって「21世紀初」の新線区間への入線に、心静かながらも興奮を覚えずにはいられません。
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そしてついに高架の新線区間に達しました!
昔からの京急お得意?の「片持ち式仮設架線柱」も相変わらず健在です。
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着工程無い十数年前、完成予想図を前にこの狭隘なジャンクションが高架になる頃私は幾つになっているだろう・・・と思いを巡らせていた日は遠く、いま眼前には長年の宿願が成就した白亜の高架線が彼方まで続いています。その立体化事業の大きな大きな前進に心の中でバンザイと叫び、あらん限りの祝意を送るものです。
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隣のやがて下り線となるであろう軌道はまだ供用されておらず、今回は上り線のみの切り替えとなっています。やがて遠方にジャンクション京急蒲田が見えてきました。二層式高架の容貌は京成青砥のそれとイメージを一にします。
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ついに京急蒲田の新・上り線ホームが見えてきました。右方向に2線分岐していますが真ん中の線はやがて待避線?となるもので、昔の東武の北千住のような構造・・・と言えば解り易いでしょうか。今はまだ仮設ホームの下に一部が潜り込んでいます。新ホームに到着し早速下車・・・暫し感慨に耽りたいところですが、出勤の途中ですので泣く泣く退散。後続の特急で品川に向かいました。

さて、勘の良い方はここまでの新線区間の画像で気付かれたと思いますが、切り替え前のような上下線間の「亘り線」が見えません。私は新線区間乗車後にこの事実にハッとし、そこで初めて「踏切の生存」に気付いたのです。それから事実確認を行ったのは言うまでもありません。そして退勤後もやはり踏切の存在が気になって仕様が無く、購入依頼しておいた記念乗車券の引き取りも兼ねて再び京急へと足を運びました。
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本改正では「エアポート急行」新設によって、既存の蒲田以北の「急行」についても「エアポート急行」への呼称変更がなされました(停車駅パターンは不変)。しかし、ご覧のような都車や京成、北総といった京急以外の社局車では従来のまま「急行」表示としていまして、この呼称は京急線内のみでの取扱いと解釈できます。実際駅員もアナウンスで「急行・・・」と言い掛けて訂正していたくらいですから、停車駅も変わらない種別に「冠を」付けるのはいささか無理矢理感もあります。

しかし前述の通り「空港アクセスの強調」と、かつて存在した蒲田以南急行とは別物であるということの「明確化」があるのではないでしょうか(なら蒲田以南だけ「エアポート急行」にしたら・・・となるとそれはそれでややこしくなるので統一したほうが望ましく、結局そうなると「冠付き」のほうに傾くということなるのでしょう)。
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京急蒲田の駅外で目に飛び込んできたのは・・・ありました、第一京浜国道の踏切はしっかりと生きています。画像は新たに設けられていた踏切の存在を示す大型の行灯ですが、イラストが1000形・・・そのプロセスはデザイン担当の趣味なのでしょうか(笑
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そしてこれが「新しき第一京浜国道踏切」のビジュアルです。地平の品川方面発羽田空港行と一層目高架の羽田空港発品川方面行の快特が行き交うシーンは、高架線とその高架線によって解消されるであろうはずの踏切が共存するという妙な構成によるもので、これは立体化事業がまだ道半ばであることを印象付けるものです。しかしやがて2年後にはようやく踏切自体が廃止される見込みですので、このシーンも「期限付き」のものとして記憶に残ることでしょう。

今回の上り線高架化ですが、京急蒲田駅においては地平と高架のどちらからも羽田空港行が発車する様式でありながら、ロクに案内表示が充実しておらず旅客のが戸惑う事態が見られるようですので、この点については「見やすく、解り易い」誘導表示の設置などソフト面での充実を図ってほしいものです。ファンは理解できても他の旅客が理解できない構造では困りますからね。ちなみに地平と高架それぞれに発着する系統の概念ですが

・地平・・・本線下り、品川方面発羽田空港行、羽田空港発横浜方面行
・高架・・・本線上り、羽田空港発品川方面行、横浜方面発羽田空港行

となっています(空港線内折返し系統がどちらかは未確認)。これについては「上り線」の高架化によってこれまでのような上下本線間の亘り線が無くなったことと、空港線糀谷の羽田空港方にクロスポイントがあるという構造をアタマに入れれば、何となく理解できるのではと思います。そして7月に施行されるスカイアクセス開業に伴うダイヤ改正ですが、時刻変更等はともかく京急線内における運転体系については本改正のまま推移していくことでしょう。
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そしてこれが「エアポート急行」運転開始記念乗車券です。先の「22・2・22」とは異なり大衆受けするものではありませんから、割合マッタリムードでの販売だったようです。内容はD型硬券の片道乗車券3枚セットでして、新逗子、羽田空港、そして目玉?の仲木戸が発駅となっています。因みに前述の2並び記念を除けば、京急における記念乗車券は110周年記念(手が出ませんでしたが)以来で2年振りではないでしょうか。

とにもかくにも、様々な思惑に取り巻かれながらも京急の新ダイヤはスタートしました。やがて2ヶ月後には京成におけるビッグプロジェクト「スカイアクセス」の開業が控え、四直絵巻はますます壮大かつユニークなものとして充実して行くことでしょう。

by ar-2 | 2010-05-17 00:23 | 京浜急行


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