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赤い電車は白い線

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2008年 02月 21日

駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)

今回も前回に続いて「えきめんや」店舗についてです。
京急逗子線の終着駅である新逗子駅の店舗には、当地ならではのオリジナルメニューがあるとか…。



新逗子には金沢文庫以北が快特併結となる羽田空港直通列車が発着するとはいえ、おしなべてローカルな雰囲気があります。
その新逗子駅の北側改札口が収まる駅ビル「ニート新逗子」の3階にえきめんや新逗子駅店舗はあります。
場所は、北側改札口を出てすぐの左斜め前方。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_17175081.jpg

本来の屋号は「えきめんや」ですが、「そば処 浪子」とも表記されています。
これは私の知る限りでは、他の「えきめんや」では見られないものです。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_1721054.jpg

その当地ならではのオリジナルメニューこと、「浪子そば」(¥400)をオーダー。

一見判りヅラいですが、厚揚げと生卵、小海老混じりの天かす、ネギとワカメといったトッピングが確認できます。
蕎麦は注文後に茹でられる生麺で、砂時計による茹で時間の管理もバッチリ。
生麺は茹で時間が短すぎても長すぎても良くなく、これが駅そば店舗で扱われにくい要素であるといえます。
横浜駅店舗も生麺を使用していますが、新逗子駅店舗とは風味等いろいろ異なります。
これについては後日記事にしたいと思います。

ところで「浪子」とは何なのでしょうか。
この事については店員さんに尋ねるのが無難なのですが、私が訪れた時間帯はピーク前であるにも関わらず続々とお客さんが入り、そんなことができる雰囲気ではありませんでした。
しかし、店内の壁に掲げられた一葉の写真が気になります。
それは海中にそびえ立つ石碑を撮ったものなのですが、これが「浪子」の由来なのではないかと直感的に思いました。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_17334100.jpg

とりあえず新逗子駅(南側)に行き、手がかりを捜します。
備え付けのガイドマップを開いて見れば…ありました。逗子海岸の外れに立つ「不如帰 徳富蘆花の碑」と、その地上対面に位置する高養寺(浪子不動)の文字が。

よくは判らないけど、ここに行けば判るかも知れない。
ガイドマップを片手にその場所へ向かいます。画像は逗子海岸へと続く一本道。京急の海水浴特急から吐き出された海水浴客も、ここを通っていったのでしょうか。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_17395132.jpg

一本道は間もなく国道134号線に突き当たります。その眼前には逗子海岸。
砂浜に立つなんて何年振りでしょうか。こんな時期なのに、ウインドゥサーフィンを楽しむ方の姿も…。
目指す石碑が遠くに見えました。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_17435438.jpg

国道134号線を歩き、高養寺のたもとにある小公園のような場所に到着。
そこに掲げられた案内板を目の当たりにして、思わず声を上げそうになりました。

昭和25年頃の此の場所を撮影したもののようで、「浪子不動の秋月」とあります。
国道134号線の影が見ない海岸線、月に照らし出された海面と傍らの石碑の組み合わせはインパクトがあります。

それより何より、この構図はまさに先程食した「浪子そば」そのものではありませんか。
闇夜に浮かぶ秋月は生卵、それに照らし出される海面は小海老混じりの天かす、海中に佇立する石碑は厚揚げ…。

ただ、これだけで「浪子そば」が「浪子不動の秋月」モチーフとしたものであると断定するのはこじ付けがましくも思いますが、逆に言えば「浪子そば」のトッピングとメニュー名の関連を、合理的に説明できる材料が他に見当たらないのもまた事実なのです。
少なくとも現段階では、私はこの景観こそが「浪子そば」のベースであるものと考えます。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_1804424.jpg

高養寺のお堂です。浪子不動の文字が見えます。
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お堂の前から逗子海岸を望むと、眼前にその石碑はあります。
手前の道路は国道134号線。もっと近くで見てみたい気もしますが、国道の海岸側に歩道は無い上にクルマの通行量も多く危険なため、諦めました。
駅へ戻るべく下に降りると、国道をくぐって海岸側に抜ける地下道を見つけました。
駅そばのハナシ②(逗子逍遥編)_c0155803_1871769.jpg

訪れる人も居ないような、忘れられたスペース。
そこから望む景観はまさに「浪子不動の秋月」。闇夜に浮かぶ秋月は無いけれども、そのイメージを思い浮かべながらシャッターを切りました。

その後、浪子について調べた結果は以下の通りです。
高養寺は、明治時代のベストセラーとなった徳富蘆花の小説「不如帰」の舞台となった場所であり、小説中のヒロインである「片岡浪子(なみこ)」の名に由来して、いつしか「浪子不動」呼ばれるようになったのだそうです。

海中の石碑は昭和8年に岩礁上に建立され、表面には「不如帰」と、裏面には「徳富健次郎之碑」と彫られています。石碑の下には、徳富蘆花が愛用していた筆と硯が納められているとのことです。

おまけ・・・
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新逗子駅に向かう帰途、橋の辺りが何やら騒がしいです。
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川面を覗き込むと、あらら…泡だらけです。
傍らの排水口から流出しているようでしたが、現場は何故か和やか?な雰囲気。
直ぐにその場を去ったので詳細は不明ですが、皆さん環境は大切にしましょう。

by ar-2 | 2008-02-21 18:26 | フード


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