赤い電車は白い線

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2012年 03月 26日

中京魔譚(1日目その3・奇絶なるバス~ゆとりーとラインに乗る)

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「1日目その2」に続く「1日目その3」です。

勝川着12:13の城北線119Hから6分のインターバルで中央線の快速2611Mへ乗り継ぐという事前の机上プランも、勝川で撮影に時間を費やしてしまいあっけなく崩壊。とはいえあの距離ではフツーに歩いてももとより6分では間に合わなかったのではと思われ、後にJRの駅?で目にした乗り換え時間の目安は10分となっていました。
プラン修正の手段としては単純に後続で追っかけてもよさそうですが、そうなると次の目的地の予定であった美濃川合までの太多線の連絡が悪くなってしまいます。なのでここは進路修正を兼ねて今朝方の出発時に地元の地下鉄駅ホームで閃いた追加プランを実行。向かう先は大曽根・・・ガイドウェイバスこと「ゆとりーとライン」です。



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勝川12:23発の1604Mで一旦名古屋方向に戻るカタチで大曽根までスライド、12:30着です。ホーム端から上下線間に挟まれながら延びるやや距離のある通路を進み、高架下の改札から駅外に出ればその高架「駅」はあります。「ゆとりーとライン」の愛称が付された名古屋ガイドウェイバスはここ大曽根を起点に約6キロの専用軌道区間を経て中志段味・高蔵寺方面を結んでいます。
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訪問前の印象としては単に新交通システムの高架をバスが走っているだけという稚拙なものだったのですが、いざ実際乗車し更に後刻に調べてみると目に見えない部分で色々とややこしい(趣味的には面白い)交通機関である事を思い知らされたのです。まずその法規的な扱いですが、大曽根から高架の専用軌道区間である小幡緑地までは「軌道法」が適用、即ちこの区間は鉄道であるわけです。しかし走行する車両はバス・・・かと思いきや「無軌条電車」としての扱いも受けていて、ちゃんと鉄道車両としての形式までもが存在するのだとか。無論、小幡緑地以遠の公道上では「バス(乗合自動車)」の扱いとなるわけで・・・。う~ん、こういうのを例えるとしたら「雌雄同体」って言うんでしょうかね。
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まあ何はともあれ百聞は一見にしかず、我が国唯一というその「奇絶」なるバスに早速触れてみたいと思います。大曽根駅のエントランスから階段を上がれば改札が構えていますが、運賃の収受は車両内で行われるのでノーラッチ状態。但し朝ラッシュ時などにはこの改札で降車の運賃収受がなされるとのことです。
性格的には雌雄同体であっても見た目はバス車両、進行方向は一方向ですし乗降口も片側面にしかありませんから、ここ大曽根ではホームを対向式としそれぞれ降車専用/乗車専用としています。降車を済ませた車両は終端部のスペースでぐるりと回って方向転換し乗車ホームへと据え付けられますが、その取り回しに奇絶さが伺えます。やはりここではバスであってバスではない?のです。
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某氏が「ミニ四駆」と形容していた案内輪部分のズームアップ、これは前輪側ですが後輪のリヤ側にも備わり計4輪が専用起動区間におけるエスコート役を果たします。
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直近の便は12:40発の中志段味行ですが、既に画像の如く結構な列が伸びています。折角ですのでここは恥も外聞もなく「オタシート」で堪能したいところですから、次発の便まで待つこととします。
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その運行頻度はデータイム10分、平日朝ラッシュ時3~4分、平日夕ラッシュ時5分といったなかなかのヘッドで、単純にこれを路線バスと捉えたとしても結構な幹線ぶりです。やはり専用軌道区間の存在によって定時性がある程度保たれている事への依存の度合いが大きいのでしょうか。
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次発の12:50中志段味行も混み具合は先発便と変わらず、たちまち立ち客多数で車内が埋まります。程なく発車し車両はすぐさま右カーブ、高架の両側にビルが聳える如何にも市街地然とした景観の中を渋滞もなくスムースに駆け抜けて行きます。車両はAT車でトップスピードはほぼ60km/h、信号待ちも鼻先を塞ぐクルマも無いのでアッという間に加速して行く感覚です。そして専用軌道区間では当然のようにステアリング操作はなされず足元の2ペダルのみで走行するという、何とも奇絶なシーンが展開します。ドライバー(というかここでは運転士)サンの手の触れないハンドルがブルブルと小刻みに震えているのがとってもシュール。
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大曽根から名古屋ドーム前矢田、砂田橋と進みますが途中駅からの乗車需要も旺盛。運賃支払い方式は中扉乗車/前扉降車の後払いですが、途中駅での降車も混雑する車内では一苦労。降車旅客のICカードが正しく読み取られず、その都度設定や確認を繰り返すので運転士サンも手放しドライビングながら言え気が抜けません。とはいえ手放しといっても実際には指差し喚呼を行なっていたりもし、思わぬところで「鉄道」を実感させられます。
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制限速度の表示は路面にも記してあるのですがカスれて判読し難くなっているので、現在は支柱による表示に改められているようです。そして画像の「制限解除」標識・・・何度でも言うようすがやはりここは「鉄道」なのだなと強く実感させられます。因みにドライバー兼運転士サンが有す免許は大二の他に無軌条電車免許とのことですが、実態は無軌条「気動車」ですからその履修内容に差があったりもするのか興味深いところです。
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車両は大曽根の市街地から矢田川を渡河し守山の駐屯地を掠め、やがて郊外の雰囲気の中に溶け込みながら専用軌道区間の末端駅である小幡緑地に到着です。偶偶なのかも知れませんがここでドッと降車が出、立ち客の絶えなかった車内から立ち客が消えたのみならず座席までもがガラガラになってしまいます。その小幡緑地からスロープ状のエントランスを下りてガイドウェイともお別れ。遮断竿の向こうは「道路交通」の世界です。
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私はこの境界も通過体験したかったので小幡緑地の一つ先の竜泉寺口まで乗車しましたが、同停留所は公道上に出てすぐに位置していました。この距離感覚はやっぱり「バス」ですね。復路は名古屋ガイドウェイバスの本社社屋やそこに隣接する高架へのエントランスを眺めながら小幡緑地まで徒歩で移動、画像は交差点前から眺めた本社社屋とスロープへのアプローチです。
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小幡緑地13:17発の便で大曽根まで来た道を戻り、ゆとりーとラインの堪能をひとしきり終えました。趣味的にはナカナカ面白い乗り物ですが、高額であろう建設費の償却や代替サイクルが短く(無軌条云々と言ってもそれは法規上であり実態はバスなので)且つ特殊な車両の維持など、一筋縄に行かない面が多々あろう事は想像に難くなく、誕生から11年を経るも他地域での追随例の無い実態からしても、ガイドウェイバスというシステム自体の今後の展開が気に掛かるところです。

「その4」に続く)
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by ar-2 | 2012-03-26 22:59 | 外出・旅行 | Comments(2)
Commented by gino-1 at 2012-03-26 23:54 x
ガイドウェイバスは興味のある交通手段ですね。

無軌条電車の免許ですが、数年前までは大型ニ種免許を取得していれば書類提出のみで取得できました。

今では、無軌条電車での実技試験があるそうです。
しかし、そこは限りある鉄道の世界。
どこぞのやの鉄道事業法適用事業者の併用軌道で50mの列車が走行する場所の如く、『特例』でイイ按配に処理しているのかもしれません。

※鉄道事業法では併用軌道は認められず、併用軌道での車輌の最大長は30mです。
Commented by ar-2 at 2012-03-27 15:38
gino-1さん、こんにちは。

>特例
名古屋のは「前例」もなければ「他例」もありませんからね。口実を造るに材料は事足らないでしょう。ちょっと調べてみたのですが、例えば普通鉄道構造規則における最小半径の数値なんかも特例だらけのような気がします。

というか、あそこって踏切だったはずではw


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