赤い電車は白い線

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2012年 02月 14日

西国奇譚(Farewell583!25時の子守唄〜今宵「きたぐに」と共に~終章・その3)

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大津を発ち、暫し宵闇の夜行急行の雰囲気を満喫し割り当てられた「2中」寝台へと戻り床に就きました。
これから先、直江津到着前まで特別な場合を除いた他のアナウンスは行われませんが、停車駅は彦根、米原、長浜、敦賀、武生、福井、小松、金沢、高岡、富山、滑川、魚津、黒部、入善、泊、糸魚川、そして直江津となっています。



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それが傍らの機器室?のノイズか、はたまたモーター音のそれであったかは定かでないのですが、その連続音を気に掛けながらも毛布にくるまって幾時間。熟睡したという感覚は無かったのですが、目が覚めると通路が明るい・・・減光していた筈の寝台車内室内灯が通常状態になっていて、やがて程なく直江津到着を告げる「おはよう放送」が流れたのです。いや~、これは私にとって快挙ではないでしょうか。普段から旅行先でのシティホテルでの眠れなさ加減は旅の疲労を増大させるに及び、あまり良い想い出とはならかったのですが、ノイズと振動で安眠なぞ期待できなかった電車寝台でここまで(およそ6時間)眠れたという事は、体調如何もありましょうが私とベッドはもとより583との相性が合致したが故にと信じて疑いません。
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その直江津では5:56から6:17まで約20分のバカ停。ここで撮れると思うと睡眠時間がとれたお陰か体が急に元気になりホームへ飛び出す事に・・・ってその前に、寝台列車就寝時の「正装」である浴衣から着替えなくてはなりませんね。いくら人目に乏しい未明の頃とは言えあられもない格好でホームに出るのは憚られますし、何より寒くて耐えられません。先の豪雪により真っ白になった駅構内、反対側のホームから落ち着いて「きたぐに」を記録します。画像は普通車自由席車両ですが・・・ガラガラですね。まあ実は各ボックスが海老反り就寝で占められていたらハナシは別ですがw 
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そんな直江津では改札外の「NEW DAYS」がどうやら6:00頃(それより前?)からオープンしていたので、途中下車して早速飛び込みます。理由は他ならぬ・・・そう、昨晩に叶わなかった「一献」です。寝台に戻った私は再び「正装」に身を纏い(←マメなやつです)、躊躇う事なくプルタブを捻り腔内に流し込みます。舌の上で僅かに踊った飴色の燃料は喉の奥に一瞬焼けるような甘露な残滓を染み込ませながら胃袋へと零れ落ち、目の端で僅かに感じた違和感を合図とし手許の缶が軽くなるほどに私の中枢神経は確実にジャックされて行ったのです。
結露という名の輝くカーテンにシャットされた採光窓を読書灯が仄かに照らし上げれば、ガラにもなくそのムードに心酔。まだ夢現な旅客も居るであろう静かなる寝台電車の一隅で、私はそっと盃を傾けながら「Farewell583」・・・。
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気が付けば再び毛布にくるまって・・・はいたものの、一度目覚めたらそれまでなのは普段と同じでした。直江津からの献杯のひと時が朧気になろうかという頃、採光窓の向こうの景色が白味を帯びながら列車の移動距離とシンクロして浮かび上がってきました。果たして長岡着・・・晴天です!
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どこまでも続く大雪原。地元にとっては害でしかない自然現象も、太陽光の下で見れば美しく捉えてしまう他所者の感傷は勝手です。それでもこの「きたぐに」が越後路を駆ける姿を上空から俯瞰するイメージを思い描きながら馳せずにはいられないほど、先の豪雪を連想させ得ない穏やかな雪景がどこまでも展開して行きます。
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昨晩は気づかなかったのですが、洗面台に向かう途中で目にしたモハネ582のデッキのドアスイッチ。何でこんなところに・・・と思ったのですが、傍らに在った乗務員室を潰して荷物置場としたのと関連があるように思えてなりません。果たして?
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8:10着の新津からは快速へと種別が変わりますが、当該区間のみ利用の場合は後部の普通車自由席4両へ乗車するようになっています(4・5号車間の貫通路を施錠するという情報もあり、また当該区間は寝台はもとよりグリーンの設定も無し)。新津のホームには通勤・通学の時間帯という事もあり、かなりの乗車列が見えました。8:13に新津を後にし、亀田停車を経て16分走れば8:29に終着新潟となります。

今回の「きたぐに」行については連日の運休から催行が相当不安視されたのもそうなのですが、仮に催行されたとして雪による遅延は?という懸念もまたあったのです。実際フタを開けてみれば私の見た限りでは新潟まで定時キープという、定時運行が当然という概念が簡単にひっくり返りそうな地域性や季節柄を乗り越えての走りは健闘であったといえましょう。こうして私にとって最後になるであろう「きたぐに」における583との一夜は時折到着するローカル列車から吐き出されるラッシュアワーの旅客で埋まるプラットホームで現実へと引き戻され、かけがえのない「想い出」へと果てたのです。
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この後はもう帰途に就くのみですが、そのファイナルアプローチまでは時間があるのでホームで列車見物・・・と、向こうからやってきたのは湘南色!?
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新潟におけるローカル列車の地域色と言えばそれは国鉄末期から連綿と続く息の長いものでして、電車の塗色だけでも最新で実に「3代目」となるわけです。そんな地域ですから湘南色なぞとうに絶滅しているはず・・・なのですが、他ならぬこのリバイバル塗色によって蘇ったのだとか。画像は4連ですが他に3連も存在するそうです。
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パッと見はAU712+インバータ電源というJR化後の冷房化率向上期に施された出で立ちですが、手前のクハはと見るとユニットサッシ?こんな非冷房車があたったのかいなと思うも、車体中央には集中クーラー対応のランボードとそのクーラー積載位置に押込型ベンチレータが見え、恐らくは冷房準備車が出自であろうと判断されます。車両の立場からすれば思ってもみなかったカタチで冷改された・・・といったところでしょうか。
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勿論、ちゃんとした?非冷房車からの冷改車も居まして中間のモハユニットがそれ。編成は上野方からTc-1503、M-133、M'-119、Tc-2035で、特にTc-2035はやはり冷房準備車出自と思われるのですが、そのランボードは関西の103系などに見られるような大型であるのが特徴になっています。湘南色の115系であれば高崎あたりで今も見られるそうですが、ここでは中間の初期丸窓モハユニットが目玉となっています。
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その後は朝食にと立ち食いそばを食べたりして過ごした後、何故か臨港線を見に行くという事になりアタリをつけて路線バスで出向いてはみたものの、事前の下調べがゼロだっただけあって右往左往・・・。結局徒労に終わってしまい、ケータイショップで充電したり万代橋を眺めたりして時間を潰します。
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そのファイナルアプローチは万代シティバスセンター12:00発の池袋行高速バス。3/2までの期間限定で、対象便限定ながら運賃¥2900のキャンペーンがなされておりその便をセレクトしたわけです。そして早めに入った万代シティバスセンターには立ち食い蕎麦店が!バスセンターには貴重?な存在ではないでしょうか。
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何をオーダーしようかと迷ったのですが、注文口が「そば」と「カレー」に別れている上にカレーライスをつついている向きが多く見え、名物なのかなと思えどそばを食べたいのでカレーそばをオーダーしました。やがて供された目にも鮮やかな黄色いカレーを被った一杯は見た目のインパクトもありますが、不思議なのはカレーがそばツユに簡単に溶けず、しっかりとカレーを主張しつつそば本来の風味も楽しめるという二度美味しい?ものなのです。カレーそばが難しいと思うのは、カレーが多すぎてもそばツユが多すぎてもという一点で、そこにおいてここ万代シティバスセンターの一杯のバランスは相当なものです。よくよくカウンターの傍らを見れば「バスセンターのカレー」というレトルトパウチのお土産品が積み上げられており、やはり名物のようです。
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12:00発の便は¥2900キャンペーンの対象便というだけでなく、3列シート車充当という事で昼行便ながらゆったりできるのが売りです(西武担当便が基本3列、但し増号車やレギュラーで4列の場合あり)。高速バスは鉄道と違って乗ったら休憩場所を除けばひたすら座りっぱなし・・・車窓に映る豪雪の置き土産であろう物凄い量の雪・雪・雪を眺めながら国境を超え、まどろみの中で目にした関東の空は雨模様でした。新潟~池袋間の所要時間は5時間オーバーですから新幹線とは比較にならず、この新潟12:00発の便の旅客は「先を急がない」旅行客が殆どを占めていました。

夜行高速バスに始まり寝台電車、そして昼行高速バスと乗りっぱなしの行程ではありましたが、まず大まかであれどプラン通りに消化できて無事帰還できた事何よりでしょう。いつもながら駆け足気味の道中はそれはそれでカラダに合っているのやも知れませんが、いつかは時間をも忘れるようなノンビリした旅を送ってみたいとも思います。まあ・・・しばらく実現する気配があるようには思えないのですが(汗
最後になりましたがこれから「きたぐに」行を企てられている方にとってその夜が素敵なものとなるよう、この場を借りてではありますが祈念する次第です。

さようなら「きたぐに」、さようなら583!越後路の雪原に響いた遠いタイフォンと共に、この一夜を私は忘れません。
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by ar-2 | 2012-02-14 22:37 | 外出・旅行


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