2012年 01月 23日
白銀に包まれた赤城の一夜は明け、2日目を迎えました。 本日も昨日に負けず劣らず?で乗り鉄充実のコースが予定されていて楽しみです。 その彩りが目にも鮮やかなモーニング!中性脂肪は万全ながら野菜は不足しがちという私には嬉しい限りです(汗 パンも焼きたてで香ばしく、手作り感に満ちた滋味は「がるば」さんならでは。シーズンにおける野菜は全て「自家製」としているそうです。 鉄道模型レイアウトは9:00から使用OKとなっているので、10:00頃の出立まで少々楽しんだり身支度を整えたり・・・。一「がるば」さんを後にし送迎車で向かった先はわたらせ渓谷鐵道の大間々。ここでオーナーさん達とはお別れです。その大間々の駅舎は恐らく国鉄~JR足尾線からそのまま継承されているであろう整ったスタイルですが、その左手前にデンと佇立するLED?による大型表示器が全てを台無しにしています(涙 我々が乗車する下り列車までは少々インターバルがあるので、駅前のコンビニに立ち寄ったり駅構内を観察したりして過ごします。画像は上りホームから見た本屋側の下りホームですが、嵩上げされていないプラットホームはもとより方杖が多用された木製上屋などから、一昔・二昔前の国鉄テイストが十二分に感じ取れます。 ここ大間々はわたらせ渓谷鐵道(以下、わ鐵と称す)の車両基地も併設されていて、幾つかの留置車両が見えます。その中でも抜きん出ているのが「トロッコ列車」でして、画像のオープン客車が呼び水となっています。 このオープン客車の種車は何と京王5000系電車でして、今となっては稀少な「客車に化けた電車」としてあまりにも有名な存在となっています。画像の「わ99ー5070」は原車番のデハ5070(1969年日立製・1995年廃車)を踏襲した付番としているのがユニーク! こちらは「わ99ー5020」で、やはり原車番のデハ5020(1969年日立製・1995年廃車)を踏襲した付番とされています。どちらも京王5000系時はTSー804A台車を履いていましたが、「わ99」化に際して豊橋鉄道1900形の廃車発生品であるDTー21B台車へと履き替えるのと共に、当然ながら発電ブレーキであったのが自動ブレーキ化されています。 思い思いの時間を各自が過ごした後に10:57発の717D間藤行に乗車。車内は我々を含めて殆どが観光客といった様相で、観光案内に徹するアテンダント嬢の存在がその印象をいっそう強くします。単行の気動車は渡良瀬川を車窓の共にしながら大間々を後にし、11:33到着の神戸(ごうど)で我々は下車しました。 ここ神戸の上りホームに隣接して営業している「列車のレストラン 清流」は読んで字の如くかつてのDRCこと「デラックス・ロマンスカー」東武1720系の中間車が店舗として活用されており、我々の神戸下車の目的はここでのランチというわけです。 ここで活用されているのはかつての1721Fの4・5号車に連結されていたモハ1724とモハ1725(共に1960(昭35)年日車製)で、ホームから向かって右側のモハ1725(電車一連番号:485)は予約室とされています。画像の通り、手前(モハ1724側)にはかつての売店カウンターがそのまま存置されているのが判ります。 通常利用できるのはホームから向かって左側のパンタ車であるモハ1724(電車一連番号:484)です。2両のモハに挟まれた建屋が店舗出入口であり、食券券売機と調理場も設けられています。オーダー品が出来上がると別付のスピーカーからアナウンスされるので、セルフサービスでそれを受け取りに行くスタイルとなっています。 「マジックドアに染まる想い出は」 モハ1724の客室はテーブル設置により若干ずつではありますがシートが前後に移設されて(床面に痕跡あり)いますが、それでも窓割と大きく違わないので往年のイメージが色濃く残っているのではと思います。 鉄道車両がその保存に至る事例の場合、編成モノはまず先頭車が抜擢され中間車は何顧みられる事なく潰されてしまうのが殆どですが、ここ神戸のモハ1724・1725の場合は「店舗利用」という前提が幸いし、そのスペースが多くとれるという点でも中間車が抜擢されたのはある意味必然と言えなくもないでしょう。とはいえ同じ1721Fを組成していた先頭車のモハ1721は東武博物館、モハ1726は岩槻公園という引き取り手が存在したので、単に売れ残った中間車を引き取っただけというのが真相かも知れませんが・・・。 店舗として再起の後は長らく外観を青一色の装いとしていましたが、昨年(平成23)1月になってオリジナルの衣装であるベージュとマルーンの出で立ちが蘇り、マルーンの太帯に映える銀縁の狭窓がズラリと並んだ本当に美しいビジュアルを見せています。モハ1724のパンタも程よい位置で上昇姿勢が保たれ、およそそこに「先頭車ではないが故のハンデ」というものは微塵も感じられません。紛れもない「最高の状態のDRC」がここ神戸には現存しているのです。 2両のモハには当然のように足回りもほぼ完全な状態で現存しているわけでして、早速お約束の台車チェック。画像はモハ1725の日光方に位置する台車のアップで、「FS334B」の陽刻とその下部に見える帯板の刻み文字は「TRSー60MBー390」と読み取れます。メーカー形式のFSー334Bと東武形式のTRSー60MB・・・その整合は手許の資料通りです。 このFSー334B(TRSー60M)台車はもともと1720系1721F~1751Fの6連4本が落成時に履いていたものですが、1967(昭42)年から翌1968(昭43)年にかけ高速運転時の安定性を高めるためS形ミンデンのFSー370(TRSー67M)台車へと換装。捻出されたFSー334B(TRSー60M)台車は当時増備途上にあった2000系新造車(6連4本)へと転用されています。 1720系は全車が主要機器や台車を昨日にも浅草~赤城間で乗車した200系へと転用されていますから、本来なら現存する1720系の固体は全てダルマさんであっても不思議はありません。しかしそれではあんまりに思われたのかどうか、その展示や利用に際しては1720系と廃車時期の被っていた2000系からFSー334B(TRSー60M)台車を取り戻すカタチで調達したものと考えられます。 ただ私が画像の製造銘板を見て「おや」と思ったのはその製造年・・・昭和44年4月とハッキリ読み取れます。ここで先の台車交換についての相関を記してみますと 1721F:1967(昭42)・12台車交換→2115F:1968(昭43)・7落成 1751F:1968(昭43)・2台車交換→2116F:1968(昭43)・7落成 1731F:1968(昭43)・11台車交換→2117F:1969(昭44)・4落成 1741F:1968(昭43)・11台車交換→2118F:1969(昭44)・5落成 となります。 FSー334B(TRSー60M)台車は全てが1960(昭35)年製ですから、後天的に製造年月が弄られるとしたらやはり2000系への転用時となりましょうか。その年月から見て2117Fからの取り戻し品と考えられますが、果たして製造年月が弄られるに至った理由・・・即ち何かしらの改造が施されたのか、若しくは車体との製造年月を揃えねばならない事由があったのかといった点については、今後アタマの隅に意識を留め置いて、ゆくゆくは解明できればと思います。 神戸の2両は他にも随所に見える小パーツなどに至るまで往事の状態が保たれている事に驚きの連続だったのですが、それらの点についてはここではあまり多くは触れません(限りが無いので)。興味のある向きは是非現地へと足を運ばれる事をお薦めします。 すっかり1720系に神戸のイメージを支配されるところでしたが、構内には他にも見所が沢山あります。画像は下りホームに現存する煉瓦積みの可愛らしい建築物で、国指定登録有形文化財にもなっています。その名称ともなっている「危険品庫」というのは軌条の潤滑油や暖房燃料の保管庫としての役目を負ったものですが、もともとそれらは「ランプ小屋(ランプ部屋)」と称され、石油ランプを用いた室内燈、車両燈、信号燈などを整備保管する目的で建てられたのです。とはいえ油繋がりの役目に変わりはなく、そうした事もあって永く後年まで存置されるケースも少なくないようで、わ鐵における煉瓦積み危険品庫の残存駅は相老、神戸、足尾の3駅に及びます(かつては大間々にも存在したとか)。 国有化前の足尾鉄道が神戸(当時は神土)まで達したのは1912(大正元)年9月の事で、本危険品庫も恐らくその時の築と推測されます。本年で実に1世紀を迎えるであろう神戸の危険品庫・・・かくしゃくたるものです。 下りホームと駅外の駐車場の境目に・・・ラックレール発見! 地域柄その出自は今更記すまでもありませんが、減りこそはすれ増える事はないアプト式の遺物だけに貴重な存在でしょう。 神戸は先の危険品庫のみならず、駅舎はもとより上下線のプラットホームまでが国指定登録有形文化財とされています。 その貫禄は間藤方を望めば一目瞭然・・・この枯れ具合、堪りません! 神戸でのメインは先の「清流」のみであったはずですが、すっかりその構内全体から醸される「空間」にすっかり魅せられてしまいました。 飾りっ気は無いが泰然さに満ちた堂々たる木造駅舎、こういった建築物が「フツーに」点在しているわ鐵のポテンシャルは相当なものです。 神戸ではドライブがてらに顔を出された某氏の姿も見え、しばし歓談。やがて列車の時刻となり某氏の見送りを受けながら12:49発の719Dで神戸を後にしました。神戸から隣駅の沢入までの所要はおよそ10分。この間には草木ダム建設によって付け替えられた新線区間の殆どを占める草木トンネル(延長5242M)が控えています。その草木トンネルを抜けてすぐにトラスで渡良瀬川を渡河。眼下を見れば画像でいうところの白い部分、何と水面が氷化しています。 通洞に差し掛かろうかという頃に車窓は一変し、銅山で栄えた時代もあるであろう足尾の街並みが広がり始めます。 沿線には鉱業所や鉱毒水を中和する攪拌槽の遺構が点在・・・渡良瀬川の渓谷美から一転、盛者必衰を深く深く胸に刻み込まれる思いがします。 終点間藤の一つ手前、足尾の構内には先代のレールバスやキハ30・35、タンク車等の姿が見えます。 手前の首都圏色のキハ35は70番で、奥のキハ30は35番。いずれも近年になって綺麗に塗り直され、保存車としての施しを受けているようです。そしてこのナンバーですが、記事編纂中に何となく見覚えがあると思いフィールドノートをひっくり返してみましたところ・・・ 1996(平8)年7月6日の記録、新前橋駅構内の側線に留置されていた疎開車両群のメモの中にそのナンバーがやはりありました。 これらの疎開車両群は、同年春のダイヤ改正における電化やキハ110系投入によって追われたキハ30・35の一群であり、同駅ホームから目視の限りでは2本の側線の手前側にキハ30×6、キハ35×4、奥側にキハ30×2、キハ35×3の計15両の留置が認められ、それらの車番と連結位置を記したのがこのメモなのです。足尾のキハ30 35とキハ35 70は手前側の右から3・4両目に見えますね。私にとって実にまさかの16年振りの再会となりました。 足尾に限らずですが、わ鐵沿線にはまだまだ見所が沢山ありそうです。いつになるとも判らないけれども、いずれ機会を造って再訪したい念に駆られながら、719Dは終点・間藤に13:30着です。 ここからは日光市営バスで日光を目指すわけですが、そのインターバルは少々タイトな2分!積雪に足を滑らせないよう意を払いつつバス停へと急ぎます。やがて姿を見せた市営バスはマイクロバスのリエッセ。というか、白ナンバーの営業車というのもあるんですね(勉強不足です)。 バスは平時以上?の旅客を乗せ、日足トンネルを抜け一路日光へ・・・。 旅もいよいよラストスパートという事で、私もうつらうつらしながらJR日光駅に到着。10分少々のインターバルで宇都宮行の電車に乗り換えます。107系がこの色になってから乗車するのは初めてですが、車内は昔のまんまでした。。 宇都宮からは始発の211系運用で上野を目指しますが、期待された平屋グリーン車の姿はなく2両ともダブルデッカーでした。それでもまあ雰囲気を楽しむというか、他の旅客からの隔離という意味で運良く空いていた車端部の8人室に収まりました。メンバーの1名は所用があり、ここでお別れです。 皮肉な事にというか、離合する列車における平屋車の組み込み率が高かった事と、そしてそれはどうも高崎線系統への傾向が強い事などを学習しつつ、次回こそは「平屋グリーン車友の会」の成就を目指そうという方針で一致した・・・ような気がします。 終点の上野で事実上の散会となり、せめて画像だけでもと平屋グリーン車を記録に収めます。二等車時代を彷彿とさせる狭窓の連続するサイドビューに、果たして我々の顔が映る日は来るのでしょうか。 以上、二日間に亘っての倶楽部では異色であった「乗り鉄」中心のツアーも、大きな犠牲を払う事なくつつがなく了を迎えました。 諸手配に関わった幹事・ginoー1氏をはじめ、他のメンバー間における協力あっての2日間であったと感じました。 この場を借りて、改めて御礼申し上げます。 (おわり)
by ar-2
| 2012-01-23 17:04
| オフ会
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弊ブログは移転しています。外部リンクから「赤い電車は臼い線」へどうぞ。コメントは承認制で受けていますが、非管理状態につき反映されないと思われますので悪しからず。 by ar-2 カレンダー
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