2011年 11月 24日
「前夜~1日目その1」、「1日目その2」、「1日目その3」、「1日目その4」、「1日目その5」、 「2日目その1」に続き「2日目その2」です。 一宮まで時間潰しの往復をするもまだ幾らかの余裕があり、ボケッとしたまま過ごすのも本意ではないので急遽志度線における特別列車の様子を窺おうと思います。この特別列車は先にも記した ように、ミンティアガール香川県代表の小泉みゆきさんによる一日車掌&フォトセッションという「ことでん100周年イベント」の 一環として仕立てられたもので、志度線瓦町~屋島間を増発列車として往復するものです。 もともと本列車は志度線運行という時点で使用車両に面白みがあるはずもなく、ヘッドマークの類も特に期待できないだろうという目算で乗車するつもりが無かったのですが、非情な陽気のお陰で時間潰しに苦慮するハメとなり、とうとう観念?してその様子を窺う事としたわけです。その増発列車は定期便の合間に7027レ~7034レとして瓦町~屋島間往復という設定でして、平時は見られない屋島での折り返しがポイントとなりましょうか。私達は7027レ発車後の瓦町10:46発で追いかけ、屋島では約1時間のインターバルの内半分くらいの時間を消化し、落ち着いた雰囲気の同列車が佇んでいました。 同乗のことちゃん・ことみちゃんに囲まれてご満悦の小泉さん。キャンペーンガール(というのかな?)の一日車掌というイベントの性格を備えた列車ですから、往路乗車の旅客がまるまる折り返すカタチですが、その着発は本屋から最奥部に位置する0番線(便宜上の呼称)でなされました。0番線は軌条面を見た限りでは平時は使用される事が無いようですが、出発信号機が当然のように生きていますから完全に殺しているわけでもないようです。イメージ的にはかつての大師線の産業道路でしょうか。 列車が屋島に到着してから1時間、私達が追いついてから30分ほど経った11:31、折り返し瓦町行である7034レは屋島を後にしました。列車としては増発のスタイルとしているので乗車券のみで誰でも乗車出来ますが、地元の恒常的な旅客は20分ヘッドのタイムテーブルがアタマに入っていると思われ、その1往復ポッキリの10分ヘッド列車をアテにするとも考えにくいので途中駅からの乗車は殆ど見られませんが、それでもやはり乗り合わせる旅客も居ます。ファニーだったのは春日川あたりから乗り合わせた御婆さん、小泉さんによる手提げ籠携行の琴電グッズ販売に興味を示し、ことちゃん・ことみちゃんのケータイストラップを見つけて「(取り付けが)簡単なのは無いの?」と品定め。何とペアで求められていました。 そんな和やかさをも運んだ7034レは瓦町に無事到着。小泉さんの一日車掌はこれで終わりではなく、この後のレトロ列車にも添乗するとの事で「これはある意味カオスにるな・・・」と刹那冷汗が流れたかどうかは兎も角、この後ようやく待ちに待った本日のメインとなるレトロ列車の乗車機会となるわけです。瓦町からは11:50発で仏生山まで戻り12:02着。レトロ列車の一番手となる3023レは12:19発築港行で、やがて車庫側群線の最奥部でスタンバっていた300+120+23が築港方へと転線、スイッチバックし1番線へと据え付けられました。私にとっては昨年の300+500以来となる古典車両への乗車ではありますが、今回は300は不変であるものの500に替わって120と23が組成されていますから、これで現存4台の古典車両全てに乗車できた事となりました。 レトロ列車としての運行時に充当頻度が高いのは、やはり楕円戸袋窓へ復原され車体も茶色一色という唯一の装いを有す3000形300が多いように感じられ、本日もその例外たる事はありませんでした。3連の真ん中に挟まるのは1000形120号で、ビジュアル的には上隅部にRを描く典雅な前面・側面窓を有すのが大特徴ですが、外見が突出して目立つ先の300や後述するインテリアが独特な23と比べると、後々の旅客の乗り具合からして人気は今一つのようです。おまけにこの時の120はなんと雨漏りを発症させていて、当該部分下のモケットにはビニールが貼られていました。添乗の営業サンがその旨をどこかへ電話連絡していましたが、今更どうにもならずお手上げ状態だったようです。やはり車齢85年ともなれば老朽化から免れ得るはずも無く、その維持や保全には多大な手間のある事が窺えます。 そんなハプニングを載せたまま3032レは仏生山を発車!果たして今回のレトロ列車はどのような道中となるでしょうか。築港までの送り込み的性格が強い3032レは吊り掛けサウンドを轟々と唸らせながら飛ばしますが、遅れ気味なのか瓦町の所定2分停車も1分程度に縮まっていました。やがて12:37に築港着ですが、折り返し3229レまでのインターバルは1分50秒!築港の琴平線ホームは乗降分離していますから3032レの旅客は一旦全員下車し、頭端式ホームを回り込んで乗車側へと移動します。運転士サンが23号の方向版を「滝宮」にしようと思うも備わっていない!?3229レ自体は滝宮止まりですが、列車としては琴平まで直通するので「滝宮」の板は積んでいなかったぽいです。そのような慌てふためく場面もあったものの、後々に方向板を「琴平」にセットして3229レは築港を後にしました。 築港からの折り返しはその20形23に乗車。現存する古典車両の内唯一の琴電オリジナルではない固体です。その出自は近畿日本鉄道(=近鉄)のモ5261形ですが更に遡れば大阪鉄道(Ⅱ)デロ20形に突き当たります。もともとは前面が大きくカーブした「卵型」に5枚窓というスタイルでしたが、琴電入りに際してありきたりな貫通扉を有す平妻へと大改造されました。かつては側面幕板に弓形の美しい飾り窓があり、琴電入り後も22と24にはその埋設痕が瞭然と残置されており、22がその姿を最後まで留めていたようです。インテリアはというと大規模な更新の後でもニス塗りのままであったのは24とこの23であり、且つ23のみに側扉脇の側柱に意匠を凝らした装飾が残され、これが目玉となっています。 そのインテリアがこちら!オリジナルとはおよそ乖離した外見とは違い、インテリアには1925(大14)年製造当時の面影を存分に感じられましょう。蛍光灯の灯りを包み込むような白天井、その光沢の輝きを一層増すニス塗りの化粧板、吊り手の竿を支える優雅なデザインのステー・・・。琴電独特のゴールデンオリーブのモケットもベストマッチしています。 (つづく)
by ar-2
| 2011-11-24 21:57
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