2011年 11月 21日
「前夜~1日目その1」に続いての1日目その2です。栗林公園から1073Fを追って213レで辿り着いた仏生山。降る雨の激しさも何のその、京急の仲間達を追いかける旅路はまだ始まったばかりです。その213レは築港寄の1085Fを解放し、身軽になった1081Fが引き続き一宮を目指して仏生山を後にして行きました。 その213レの仏生山における解放作業ですが、それこそ現在の京急のような電磁密連による「ワンタッチ」によるものではなく旧来からの人手を介しての手作業。小気味良い「パスッ!パスッ!」というジャンパカットの音色に続いて喚呼の声が響き、決して長いとは言えない停車時間に手際良く作業の進められる様に、まるで京急の「魂」までもが車両とともに流れ込んでいるかのような印象すら抱かされました。時間帯や区間による輸送量の相対差によって発生する分割併合作業、とりわけ手作業は要員を割くという点で忌避される傾向にあると考えられますが、この弾力性をいつまでも失わないで欲しいものです。 先行していた仏生山止まりの3213レはとうに1209Fと1073Fを分割し、1073Fは2番線と3番線間に喰い込んだ留置線に収容されていました。果たして本日夕方からの運用機会はあるでしょうか?そして213レから解放された1085Fは213レ発車後に後を追って琴平方へと進み、スイッチバックの後車庫側(北工場)へと収容されて行きました。奥にチラりと見える留置線にも1080形の姿が・・・そう、ここは紛う事なき京急天国です! 3番線に隣接する工場側(南工場)群線の最奥部に、レトロ車の1両である1000形120が長尾線色の600形602と手を繋いだ状態で停車しています。パンも上がっていますから入換にでも供されているのでしょうか。120は明日・明後日の特別運行でも充当予定ですが、そのような機会を除けばレトロ車は構内でジッとしているだろうという思い込みがあったので、このような姿はひどく新鮮に映りました。 ほどなく築港から折り返してきた3013レとして603F+605Fが仏生山止まりで到着。4連がまるまる入区とされ、一旦築港方へ退行の後スイッチバックして工場側群線に収容されました。この603F+605Fですが結局この日の夕方も運用には入らず、無論翌土曜日と翌々の日曜日も入区したままであり(日曜日には車庫側群線に移動していましたが)、運用機会が相当限定的であると察せられました。 長尾線から琴平線への転入に際しては琴平線他形式(1070・1080など)との連結を考慮してジャンパ類が 整備されている筈ですが、結局は性能面での相性が他形式とよろしくないのか、中間で向かい合う604と605の前面字幕を無表示で非連動とさせているあたり、事実上4連固定の扱いと見て相違無いのかも知れません。 やがて1103Fの13レ琴平行が2番線に入線、客扱い→発車の後間髪を入れずに工場側群線の最奥部に居た120+601が動き始めました。いよいよ入換かな?なんて眺めていたら、なんか凄っげぇのがケツにブラ下がってるうううううう!! いやあブッたまげました。工場側群線の最奥部は延長が駅前広場脇にまで喰い込んでいて、デカイチはそこに隠れてホームからは見えなかったのです。仏生山の主とも言われる電動貨車は「デカ1形」とも「デカ形1号」とも言われますが、デカイチの通り名なら問題無さそう?です。120を先頭にした入換編成の一行は築港方でスイッチバックの後、2番線を通過して今度は琴平方へと向かって行きます。 そして琴平方で再びスイッチバックして車庫側群線へと進む一行!レトロ120とデカイチで601を挟み込んだ「珍ドコ」三重連にすっかりヤラれ、思わず「すーげぇー!」と声を上げてしまいます。この画ではデカイチの存在感が全く強調されていませんが、旧型車と600形のカップリングは今は無き長尾線での3連運用を彷彿とさせてくれます。 今や存在自体が稀有とされる電動貨車の類ですが、琴電のデカイチはその中でもビジュアルを含めて突出したインパクトを誇っています。戦後の困窮期に国鉄のワフ25000形有蓋貨車を電車の制御車に仕立てたという11000形の台枠や、元・京浜電鉄の木造車の台車等ありあわせの部資材を用いて(※以上、諸説あり)1957(昭32)年に今橋工場でデカイチは生まれました。ATSを積んでいないので稼動機会や区間は極めて限定的ですが、近年では台車を3000形315の廃車発生品に交換したり車体をリフレッシュさせてもらっているので、これからも元気な姿を見せてくれることでしょう。 車庫側に向かった一行は指定位置到着後に先頭の120がただちに解放され、機回し転線し駅側へと戻ってきました。続いてデカイチも解放され120の後を追って駅側にリターン。今度はその120とデカイチが連結の体勢です。 デカイチの連結器のナックルが下方向に長いのが異様ですが、これならば連結相手のカプラー高さに柔軟に対応できるわけで、デカイチが事業用車たる部分を改めて印象付けられた格好です。 車体中央に鎮座する運転室は電話ボックス・・・というよりは料金所でしょうか。その幅はパンタグラフ分しかありません。前照灯はそれなりのモノが幕板にあり、尾灯は台枠端にガイコツが備わっています。となるとこの画像にも見える前照灯下の2ツの灯具は一体?恐らくかつての保線用の作業灯あたりではないかと推測されますが・・・。 やがて解放作業を伴う下り215レが到着。客扱い終了後の発車と解放車の収容を待って、600形601搬送の入換作業を終えた120とデカイチのコンビは手を取り合って一旦琴平方へと出ます。そこでスイッチバックし再び2番線をスルー。デカイチが入換に供されるのは必然かも知れませんが、現在はイベントカーというイメージの強いレトロ車に、こんな裏稼業があるとは思ってもみませんでした。近江の機関車代用221や伊豆急の103然り、やはり単車は重宝するのだなと思いました。思わぬ入換作業の展開に午前中からお腹一杯の感もひとしおですが、胃袋は別?ってことですっかり摂取の機会を逃していた朝食タイムを設けるべく、仏生山から別ポイントへ移動しましょう。 (つづく)
by ar-2
| 2011-11-21 21:47
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