赤い電車は白い線

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2011年 10月 05日

湖国大観(2日目その1・湖東縦走!南部落穂拾い)

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京阪大津の「HO-KAGO TEA TIME TRAIN」613Fとの遭遇に沸いた刻は瞬く間に過ぎ、明けて迎えた
9月29日の湖国の朝・・・というくだりは前回記事のそれですが、いよいよ本編を再開したいと思います。



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大津で迎える朝はこの時以来ですが、今回のように大津から貴生川へとコース取りするのは初めての事です。
滋賀県随一の官庁街という大津だけあって通勤時間帯は乗車客のみならず降車客も多く、その隙間を縫うようにして
ホームに上がれば対向列車の中間が煌々としています。昨日の夕方も京阪電車の車内から目にしてはいたのですが、
時間帯を問わず実施されているのですね。果たしてどれだけの効果があるのか、興味深いところです。
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そして7:29発の上り普通(野洲行)に乗車。吊革にぶら下がりながら何とはなしに琵琶湖側を眺めていましたら・・・
膳所停車中に襲来!これも「引力」のなせるものなのでしょうか。昨日はあれだけ遭遇まで待ちわびたにも関わらず、
本日はお目覚めからしっかり稼動する「HO-KAGO TEA TIME TRAIN」こと613Fの姿が飛び込んできたのです。
613Fは石山寺行ですから乗車中の普通で石山へ先行すれば撮影可能と考え、石山着後すぐさま下りホームへ移動。
やがて613Fは相変わらずの強烈なビジュアルを放ちながらJRをオーバーパスする築堤からゆっくりと下りてきました。
そしてこれで613Fの山側・湖側の全4方位からの編成写真を記録する事ができたのです。
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思わぬ釣果に本日のハピネスの充実ぶりを予感し、心弾ませながら後続の新快速で再び上り草津へと向かいます。
草津からは言わずもがなの草津線へと乗り換えますが、ことらも朝ラッシュ時だけあって結構な乗車待ちです。
8:09発の柘植行は113系の4連、昨今増加しつつある緑色のヘンなのではなくココア色とも称されるカラーです。
車内は転換クロスシートに改装されているので快適な身の上ですが、この時は湘南色の4連だったのが懐かしく思います。
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発車直前にはかなりの混み様であったのですが、次駅の手原で大半の旅客が降りてしまい立客はほぼゼロになります。
貴生川でも私を含めた纏まった降車があり、やはり貴生川を境に輸送量の差のあることを実感させられます。そして今回は
初めて貴生川の駅舎から外に出てみました。これは近江鉄道側の外観ですが、ごくごくありふれた橋上駅の面持ちです。
貴生川という駅名は、かつて内貴、北内貴、虫生野、宇川の4ヶ村の合併に際して一文字ずつを拾って名付け誕生した
「貴生川村」に由来するもので、その後貴生川町へと発展もしましたが現在は甲賀市へと吸収されるに至り、
行政区分上の地名としての貴生川は消滅しています。
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いよいよ待ちに待った近江鉄道乗り歩きがスタートしますが、その乗車券はいつもの「ウォーキングハイキングフリーきっぷ」です。
本乗車券についてはもはや説明不要ですが、個人利用の場合は発売時間が9:00~10:00の間のみという極めて
特殊な形態なので注意が必要です(3名以上のグループについては7:00~17:00の間発売)。また、購入に際して
申し込み用紙への記入が必要になりますが、これは上記リンクからダウンロードして事前に用意する事も可能ですので
スムースな購入の一助となるでしょう。また「目的地(コース)」欄については「江州音頭発祥の地、豊郷」と記入すれば
問題ありません(というか他のコース名を知らないw)。なお本乗車券は平日利用の限定ですので、土休日であれば
「S・Sフリーきっぷ」が同じ額面で発売されています。こちらは個人・グループの違いによる発売時間の制約は無く、
申し込み用紙への記入手続きもありませんからお手軽そのものです。土休日の近江乗り歩きには不可欠な乗車券です。
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9:00の発売開始を待って窓口ですぐさま購入。直近の発車はというと9:13発の水口行です。今回もまたいつも通り
落穂拾い的な感覚のノープランではありますが、まずは以前に動画サイトで目にして訪れたかった水口城南を目指します。
ホームに停車中の水口行805Fの車内2両目後部から望めば・・・完全にカラです。それでも発車時刻近くになって
JRからの乗り換え旅客が三々五々集まり、(2両合わせて10名程度ですが)定刻に発車しました。
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貴生川を後にし右カーブからコトコト走って1駅目が水口城南です。1989(平元)年開業という近江鉄道では
比較的新し目の増設駅です。駅舎は2階建ての立派なものですが、窓口が開いているのは朝間帯のみで殆どの時間帯が
無人とされています。このようなスタイルは他に多賀大社前や彦根口などでも見られます。
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貴生川9:36発の電車があるのを確認していたので、それの送り込みを迎え撃つべく目星をつけていたポイントへ移動。
道路脇の小道に佇んでいると農作業に向かう軽トラのオジサンが「電車撮るのか?(といった内容だと思う)」と
声をかけてくれます。何でもないやりとりに思えますが、やはり「人との結びつき」が都心部のそれと違って恒常的であり、
且つ豊かであるのだなと実感させられ心温まる思いです。

やがて傍らの踏切警報機が鳴り出し貴生川行の電車が姿を見せました。脱穀した稲を束ねた「ワラトビ」(小さいサイズ
のものを「小トビ」と呼称する地方もあります)が田圃に居並ぶ景はまさに秋の収穫期を象徴するような原風景そのもの。
「プヮン」と山間に消え入りそうなタイフォンを残しながら黄色い電車は眼前を過ぎ去り、やがて視界からゆっくりと
フェードアウトして行きました。近江に来てよかった、近江に通い続けてよかった・・・。そんな想いが湧き上がるような
得も言われぬ感慨を覚え、そしてこの豊穣なる大地・近江への再訪の叶った喜びを噛み締めたのです。
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貴生川へと向かった電車はやがて日野行として折り返し姿を見せました。その807Fに乗車して水口町の中心水口へ。
水口町は今は甲賀市の一部ですがかつては水口市として市制を敷いていた時期もあり、その甲賀市役所も水口町に
所在していますからそれなりに栄えているようです。その水口町の街外れにあるのが水口松尾の駅でして、先程の
水口城南と同じく1989(平元)年の開業です。少し離れたところにある新興住宅地の需要を当て込んで設けた
ようですが、もとより列車本数が少ないのでパッとはしていないようです。それでも降車が1名ありましたし、
駐輪の自転車も見えましたから時間帯によってはそれなりの利用もあるようです。
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その水口松尾を発てば山間のムードが漂い始め、やがて近江鉄道では2ツしか存在しないトンネルの内の1ツである
「清水山トンネル」に突入します。トンネル内とその前後の区間は常時20km/h制限とされ、ゆっくりと進んで行きます。
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その米原方坑口は赤レンガと切石を用いた堂々たるもので、アーチを形成する迫石が何とも言えぬ美しさを醸します。
この清水山トンネルは1900(明33)年の日野~貴生川間開業に際して築かれ既に一世紀を超える明治隧道です。
手前には「カーブ半径400メートル」と「制限20km/h」を示す標識が見えますが、果たしてそこまでの低速が
求められるほどの急カーブなのでしょうか。これは推測ですが、老朽化著しいトンネルへの配慮からそうしている
面もあるのかも知れません。因みにもう1ツのトンネルである佐和山トンネル(彦根~鳥居本)での速度制限はありません。
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清水山トンネルを抜ければ穀倉地帯へと躍り出、近江商人で栄えた街の一つでもある日野に到着します。
ホームに降りれば一体どれほどの歳月を過ごしてきたのだろうと想いを馳せさせるようなベンチが並び、
木製のホーム上屋共々長きに亘ってに不変であったろう事を感じさせます。駅舎も1900(明33)年の開業以来
とも言うべき威風を保ちいまなお健在で、本当にここ日野の駅全体のテンションは必見に値するものです。
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エンタシス様式を思わせる独特の支柱をで支えられた庇ともども、一世紀オーバーの「明治駅舎」は健在でした。
そのビジュアルは前回初訪問時とはおよそ見た限りの大きな変化はありません。よくぞ残っていてくれました。
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日野の街並み観光は今回は考えていなかったのですが、駅から少し歩いてみただけでイイ雰囲気が漂います。
私のコース取りは駆け足気味になる事が多く、スポットを絞って観光する機会をいずれかは設けたいものです。
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駅構内の外れ、米原方の踏切傍にある小さな桁橋。石積みの橋台を擁しリベットの打ち込まれた堂々たる出で立ちは、
1900(明33)年の開業時から現役のままである可能性が大です。明治生まれが普通に現役・・・それが近江です。
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駅前の広場から上りホームを望みます。大振りな木製上屋が独特のオーラを漂わせています。
そしてこの構図を目にして思い出すのは・・・。

私が日野の駅舎及びその構内の情景を初めて知り、衝撃を受けた動画です。こんな駅が近江にあったとは!と、
当初は単なる豊郷小訪問のついでに過ぎなかった「近江行」が、やがて大きなウェイトを置く端緒となった動画です。
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気温がグングン上がる午前中、刻を忘れそうになる長閑な空気に溶け込んでいたら遠くに上り電車の姿が見えました。
僅かな滞在でしたが日野を後にし、次なる目的地へと移動します。


(つづく)
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by ar-2 | 2011-10-05 23:01 | 外出・旅行 | Comments(0)


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