2011年 05月 21日
その車両を目にすると「金運が落ちる」とも、逆に「金運に恵まれる」とも言われました。 ソースのはっきりしない都市伝説ならではのエピソードを湛え、近年までその存在についてデリケートな取り扱いのなされていた車両・・・それがマニ30(2007~2012)なのです。今回は唐突ですが、私が記録できた同車について綴ってみたいと思います。 ★1993(平5)年3月12日 品川にて マニ30 2011 後位(4位側) 今は横総のA線専用化した11・12番ホームから撮影。バックの高架線は東海道新幹線で、現在はここに その品川駅が設けられています。18年前のこのロケーション、懐かしく感じる方もいらっしゃる事でしょう。 マニ30(2007~2012)、今は公然とその存在が白日の下に晒されていますが、その「現金輸送」という特殊極まりない用途にあった故かつては鉄道趣味の商業誌にあってもそれを採り上げる事は基本「禁忌」とされ、知る人ぞ知る稀有な存在であったのです。私が同車を初めて目にしたのが上画像の折、実に18年前の事でした。インターネットなぞ無かった時代、首都圏におけるカメラハイクでも「おや」と思わせる見ず知らずのネタとの遭遇には胸ときめかせたものですが、この時に同車と遭遇した印象はまず「マニ50?」だったのです。つまり私はマニ30の存在も使途も知らなかったわけで・・・。しかし、そのマニ50の亜種とも言える珍奇なビジュアルはもとより、全検上がりと思しきピカピカの姿に目を奪われてシャッターを切った次第です。今にして見れば回送中であるにも関わらず側窓に引かれたカーテンが怪しげですが、渡り板のグレーの鮮やかさが印象的なカットです。クーラのルーバがメッシュなのにも注意。 ★1997(平9)年5月11日 尾久にて DE11 1041(宇)+マニ50 2191(東オク)+マニ30 2009(東タミ) マニ50の亜種とも言うべき客車の正体ですが、実はほどなくしてアッサリと解けてしまいます。それは図書館で手にした小学館?あたりの鉄道図鑑のグラフに、先代の現金輸送車であるマニ34(後のマニ30 2001~2006)がしっかりと描かれ、あろうことか用途まで記されていたのです。窓を有さない荷室扉と側窓の少ないビジュアルはすぐさま「マニ50の亜種」と結びつき、あのマニ30という謎めいた形式の使途を解してしまったのです。 ★1997(平9)年5月11日 尾久にて マニ30 2009 後位(3位側) しかし、いざ正体が判明したとはいえそれ以上の詳細を掴む事はままならず、多くのファンにとってそうであったように私にとってもまさに「幻」の客車であったのです。その後、恐らく1~2度だと思うのですが東海道貨物線においてコンテナ列車の編成中に同車が組み込まれているのを目撃した事がありましたが、連結位置が機次位ではなかったので恐らく回送中だったのでしょう。そして2度目の記録が叶ったのが上画像の折、初対面から実に4年後の事・・・オリンピックなんて目ではないほど興奮しました(笑 その御姿は初対面の時とは対照的にカサカサで、DE11牽引の組成からしてマニ50は伴車でありまず間違いなく大宮工場への入場回送であろうと判断しました。こちらの2009番のクーラのルーバは、先の2011番と異なりスリットであるのに注意。マニ30間でもこのような少なからぬ差異があったようでして、興味深いところです。 ★1997(平9)年5月11日 尾久にて マニ30 2009 側面 1-3位側 その2009番を改めてサイドから見てみましょう。申し訳程度の側窓に、窓の無い荷室扉がミステリアス。マニ50との違いは独特のビジュアルにもありますが、それより何よりオーバーハングの長さにご注目。Lカプラーが必須ですね(笑 有井の9ミリアイテムも台車にやたらと柄の長いカプラーが備わっていますね。そういえばあのアイテム・・・ちょっと欲しいですね。 ★2002(平14)年3月28日 品川にて マニ30 2007 前位(1位側) そして3度目の記録・・・実にこの時が私にとってマニ30との最後の接触となったわけですが、記録3度目にしてようやくようやく「のっぺらぼう」の前位を拝観!もう驚天でしたね。この時は確か品川発の臨時大垣夜行に乗車すべくその下見?で偶々立ち寄り、臨時ホーム(7番線)のはずれに「あの」御姿を見付け、スッ飛んで行ったのです。7番ホームやその周辺には先客の同業者がそれなりに居ましたから、情報網というのはどこでどうなっているか判りませんね。私はそのおこぼれにあずかっただけでしたが、本当に運が良かったとしか言い様がありません。おかげで金運はジンクス通りサッパリですが、レア車両との方々での遭遇や、変なところでの悪運の強さにはちょっとした自信が有せるほどになりました(何 その最後の艶姿は最初の遭遇時と同様に出場直後のもので、妻の検査標記は「14-3 大宮工」となっていました。 この2007番は私にとって唯一の1位側からの記録ですが、その前位妻寄りの屋上にある2本の棒状アンテナにご注目。過去の記録の限りではここには「1本」しか棒状アンテナの姿が見えないので、恐らく後々になって増設されたということなのでしょうか。また独特のループアンテナの様子もハッキリと見てとれ、やはりこの角度からがマニ30の特徴が捉えられるのだなと思います。 マニ30は日銀所有の現金輸送車であり、且つ民営化後も残った貴重な「私有客車」でありましたが、2004年にその任を解かれ現在は2012番が北海道の小樽総合博物館に保存展示されています。しかしながら保存に際しては屋上アンテナの類一切が撤去されてしまっており、あの「物々しさ」は薄まっているようです。その意味でも現役時代に記録の出来た事は貴重であり、その機会に恵まれたという点でもやはり「マニ30さまさま」であった・・・のかも知れません。
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| 2011-05-21 21:21
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