赤い電車は白い線

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2011年 02月 16日

如月の湖国逍遥(2日目その2・終章 冬の日・豊郷)

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226から豊郷のホームに降り立ち、幾名かの聖地行と思しき旅客ともども構内踏切の開通を待ち、ありったけの轟音を奏でながら226はホームを離れ、小さなハコを揺らしながら霞んで行きました。この時点での率直な所感は「また来てしまった・・・」、そう、それはこの地に惚れこんだ者の宿命・・・。



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無人の駅舎を出れば、いつもの豊郷駅前。その傍らには商店が並び、その内の1店舗の「焼きたてパン とよせ」さんの店頭に「飛び出しムギ」が据え置かれていてドキリ。以前は豊郷小の手前に居た筈ですが、定期的に移動(?)でもしているのでしょうか。そのうち、上りの列車が入ってくる気配がしたので何とはなしに目をやれば、これが「あかね号」こと701F!慌てて駅に戻ります。

この700系701F「あかね号」は800系や820系同様、西武401系(Ⅱ)を種車として近江鉄道彦根工場で改造された形式ですが、その出自をまるで偲ばせない見事な変身振りと、1編成のみという希少性もあってレールファンはもとより地元旅客の注目も集めています。近江鉄道全線で万遍なく運用されている701Fと遭遇することは決して容易くなく、それ故に「幸せのあかね号」とまで称されていると聞きます。

この「あかね号」のカラーリングは万葉集に詠われたという沿線の蒲生野地域をイメージしたものとされていますが、私が見てまずイメージしたのは多賀名物の「糸切り餅」です。この糸切り餅は鎌倉時代、2度のモンゴル軍の襲来に際して台風で難を逃れたことからその台風を神風とし、その謝意として神仏に供えられたのが由来です。その際に平和を願い刃物を用いずに糸で切った事からその名が付いたのだそうです。そして糸切り餅に描かれた「青・赤・青」の筋はモンゴル軍の旗印であるとか・・・そう、「あかね号」にも赤と青のラインが巻かれています。

尤も「あかね号」は赤・青・赤の配色ですからそれを意図していないのは明白ですが、やはり「糸切り餅」を思わず連想させてしまうような色使いにはハッとさせられます。そんな事を思いながら「幸せのあかね号」をパチり。今回も巡り合せの「引き」はよさそうです。
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再び駅前に戻って「とよせ」さん。ここ豊富な調理パンを揃えていますのでついつい立ち寄ってしまいます。勿論やきそばパンもあります(笑それより何より店先に貼り尽くされた数多のポスター群に思わず目を白黒させられます。前回訪問時の10月9日(土)の記憶もあやふやですが、殆どが終了している催事の告知ポスターであるあたり、恐らく商工会ぐるみ?での「聖地化」の一環と見るべきでしょうか。
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ここからは言うまでも無く豊郷小へと向かうわけですが、私はこれまでの4回に亘る登校コースは駅前を直進して中山道を右折、そのま道なりに進んで至るというものでした。しかし、どうやら豊郷小へは「つうがくろ!」(←案内図の表現に基づくw)なるものがあって、そのコース取りは「とよせ」さんの先、「飛び出し唯」を目印に右折して豊郷病院の先を左折、豊郷町役場の傍らに出て中山道と合流し右折、道なりに進んで至るというものです。このほうが幅員が満足に無い上にクルマもそれなりに往来する中山道の経由距離を減らせる訳ですが、逆に「つうがくろ!」は豊郷病院の駐車場へ出入りするクルマや来院者の往来が思いのほか多く、一長一短に思えました。勿論、決して案内図の存在を否定するものではありませんが・・・その「つうがくろ!」経由で豊郷小へいよいよ5度目の登校です。
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私にとって初めての「冬の日の豊郷小」、初登校からもう半年が経ちましたがその泰然にして気品溢るる校舎は相も変わりません。しかし時間の経過は知名度の拡大による「純観光地化」をもたらしたようで、当然のようにそこには然るべきリスクも生まれてくるわけです。にしても、当たり前の事が当たり前に出来ないというのは・・・首を捻るばかりです。これ以上悪い方向へ事が重ならないよう祈るのみです。それと貼紙のある校舎中央の玄関扉ですが、画像のとおり何と引戸の自動扉(!)となっていました。以前は手動の開戸式だったと記憶しています。
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時間が経てば色々変わるものだ・・・と感慨に耽りながら部室へ。ここは、何度でも来たくなる場所・・・。
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豊郷小にとってある意味「白眉」ともいえる酬徳記念図書館。ここには観光案内所が収まり幾つかのグッズ販売も行っています。初登校以来のメッセージカードをしたためながら、豊郷小訪問の幸せを静かに噛み締めます。
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今回の訪豊には「岡村本家」さんでの地酒購入という大きな目的も込まれています。彦根藩主井伊家の命によって創業、安政元年より150年以上の歴史を刻み続ける岡村本家さんの酒銘「金亀(きんかめ)」は、彦根城の別名「金亀(こんき)城」に来歴する由緒あるものです。その岡村本家さん足を運ぶことはかねてからの宿願でしたが、限られた時間の中ではその立地ゆえアプローチが難しかったのですが、今日こそはということで時間もそれなりに確保。観光案内所で道程について乞うたのですがやはり徒歩ですと数十分コースとなるようです。

そこで勧めていただいたのがレンタサイクルでして、これは駅を挟んで真反対にある「宮川石油」さんが営業しているものなのですが、ここ豊郷小にも2台程度常駐?しているようで、宮川石油さんでの営業と同条件でレンタルすることができます。料金は¥500/3Hで、リミット前に電話連絡すれば加算料金無しで時間延長可能とのこと。今回は岡村本家さんへの訪問のみで利用しましたが、いずれは豊郷町自体の観光でも使ってみたいところです。前カゴの看板が痛さ満点ですが、宮川石油さんのサイトによれば看板を外してのレンタルも可とか。しかし観光案内所ではそのような案内は無く装着前提(笑 であったので、電波男振りを発揮していざ出発です!
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久し振りのチャリンコですが、かつてのママチャリで鍛えた?感覚はいささかも衰えず、豊郷の町を快走して行きます。豊郷駅へのアプローチをスルーして中山道をひたすら南下、少し先の右手にうどん店の「玉屋」さんがありますが、本日水曜日は生憎の定休日!次回はぜひ賞味したいところです。さらに南下して「又十屋敷」の標柱を目印にして左折。やがて近江鉄道の踏切に出、続いて新幹線の高架を潜って直進。するとこのレンタサイクルの営業元である宮川石油さんが・・・やりすぎです(笑
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立ち寄ろうか迷ったのですが、とりあえずは岡村本家さんに向かいます。途中、岩倉川に架かる橋から望むは・・・鈴鹿山系でしょうか。
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そして、以前にも触れた「かつての藁葺き農家」の妻にある「水」の字ですが、それとは異なる書体の物件を発見しました。しかも妻が木製です。これは相当いわくがありそうだと感じ、岡村本家さんで尋ねてみようと思います。
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そしてこちらは復路に見かけたものですが、やはり独特の書体ですが木製妻のものと同一でしょうか。これまでのようなスリットによる表現ではなく、ズーミングしてみたところ切り抜き文字の打ち付けによる表現でした。
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そんなこんなで無事に岡村本家さんに到着。歴史を感じさせる蔵とそこに吊り下がる「酒林」が独特の佇まいを醸します。店内に一歩入れば何とも言えない独特の香り、何を求めようかと品定めする間もなくスタッフの方が気さくに声をかけて下さり、オススメの品などについて伺えました。スタッフの方も豊郷小のブームについては当然のように熟知していて、それを端緒に色々と話し込んだのですが肝心の「水」について失念する始末(汗 課題が残ったままな上に謎は深まってしまったのです。
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「水」は失念しましたが「酒」についてはここぞとばかりに尋ね、スタッフの方もお薦めする1本を見つけられました。その銘は「白80」。まるで白ワインあたりを連想させそうな色を帯びているのは、米粒が大きい状態で搾り出したが故に米自体の色がついたものなのだとか。それでいて味はというと日本酒らしからぬ「フルーティ」なもので、その口当たりの良さは筆舌に尽くしがたい程の意外性に満ちています。勿論、他にも様々な味わいを秘めているであろう1本が並んでいますから、選び出したらキリが無いのですがそれはまた次回の楽しみとして。あ、ちなみに試飲は行っていませんしスタッフの方からも勧められていません。自転車で来たのを認識されていましたから・・・。
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岡村本家さんでは満ち足りた一時を過ごして、またいつかの再訪を胸に秘めます。これから豊郷小へと戻るわけですが、往路で渡った近江鉄道の踏切で上り列車の時刻が近い事を確認しスタンバイします。データイムの近江鉄道は運行本数は1本/1Hですからこれは絶妙なタイミング。その踏切から上り方向を見やればバックには伊吹の山容!かつて毎日のように日本の都心へと沢山の旅客を運んでいたであろう電車は、いま近江の豊穣なる大地で余生を送っています。
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楽しかった豊郷での時間。まだまだ陽は高いのですが、新幹線が混み始める前にというのと諸事情もあって限のイイところで後にします。豊郷駅のホームで上り列車を待つ間、やってきた下り列車はモハ223!その変態ランボードは先の記事の通りですが、次なる近江行でも再び220と逢瀬できん事を期待して止みません。こんなに面白い吊り掛け電車は、そうそうありませんから。

14:00発の彦根行は805F、そして車内には・・・またまたアテンダント嬢のコンビです。単なる偶然なのでしょうが、何とも不思議な「引き」を感じます。805Fで終着彦根へ、そこからすぐに接続する米原行は・・・何と701F!同編成でのフィナーレは都合2度目のことです。米原までの僅かな距離ですが185系のお下がりである転クロに身を委ね、如月の湖国逍遥の掉尾を飾りました。701Fは米原から多賀大社前行となって折り返して行きます。そこにやはり私は糸切り餅のイメージをどうしても重ねてしまいます。
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旅とは非日常であり、意外性に満ちたものである・・・。その「意外性」とやらが旅の途における「偶然」に基づくものであれば的を射ているでしょう。無論、豊郷小旧校舎群のような「必然」から生まれる感動もあります。「偶然」と「必然」とが織り成す出会いがあるからこそ人の心は豊かになれる・・・かも知れず、それが「旅」という「空間」における最大最高の醍醐味なのではと思います。都合5度目となった豊郷への道程はその「醍醐味」を凝縮したようなものとして深く私の心に刻まれ、次の機会へと思いを馳せたのです。

(おわり)
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by ar-2 | 2011-02-16 20:11 | 外出・旅行 | Comments(2)
Commented by 某プロ at 2011-02-17 23:24 x
こんばんわ
はまってますね~~~~
ついでに西武電車見学も出来ていいですね
次回行く時は誘ってね
最近のお気に入りは・・・・・・・サテライザー先輩です・・・・・
Commented by ar-2 at 2011-02-18 18:16
某プロさん、こんばんは。
大抵は平日に訪れるせいもありますが、スローな空気が流れている豊郷が大好きです。大変な気分転換になります。
それでは、次回の豊郷行の際には是非告知させていただきます。FS40と372に乗り放題?ですよ!

・・・接触禁止ですか。さすがプロ氏、どんどん世界を開拓されています。
しかしその嗜好にはある一定の基準があるように思えるのは多分気のせいですね(笑


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