赤い電車は白い線

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2010年 11月 28日

讃岐の国に夢を見る(1日目・今宵「サンライズ」とともに~)

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「長尾線と志度線の冷房化率0%・電動車の吊り掛け駆動率100%」そんな時代が確かにありました。

この数値への憧れが叶い琴電と初めて接し得たのは、琴平線に新風の1100形(元・京王5000系)が入線して程無い1997年の夏の日でした。当時のポジを見返せば露出のヒドいものばかりですが、長尾線の71号(唯一の東芝製電車)や30形(元・京急230形)の非貫通顔を撮っていたりと、我ながら貴重な記録をしていたのだなと驚かされました。数多のバラエティの中でも、国鉄オハ31形の台枠を流用したという950形制御車は白眉。ねぐら仏生山を訪れるも姿は見えず、傍らに積まれたファンタゴンレッドとアイボリーに染まる鉄屑が何たるかを悟るのに時間はかかりませんでした。

あれから13年、数度の琴電詣も8年前を最後に途絶えていましたが、1070形(元・京急600形(Ⅱ))の今後の動静が気にかかるという情報から、その「封印」を解いての讃岐入りとなったのです。ファンタゴンレッドと「水島カラー」の消えた琴電の表情や、いかに。



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11月25日、独特の人いきれ渦巻く22時過ぎの横浜駅構内で同行の友人と待ち合わせ。日頃見慣れた駅構内の様子も、旅立ちの段ともなればまた違って映るのはお約束でしょうか。今回の讃岐行のアプローチは当初は夜行バスを想定していたのですが、先の「4時間遅延」のトラウマや往復バスでは身がもたない・・・という配慮から、急遽「サンライズ瀬戸」へとスイッチしたのです。
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そのグレードも「横になるだけなら一緒」というチープな結び付けから「ノビノビ座席」をセレクト。所要は乗車券+指定席特急券のみですが、プライバシー性と開放感が織り成す絶妙にして不思議な空間が売り?でして、この日も平日ながら「瀬戸」の上下段は恐らく調整用区画を除いてはほぼ埋まっているように見受けられました。私達に割り当てられたのは下段の横並び、座席(というのでしょうか)であぐらをかいても身長173cmの私が天井にアタマをぶつけることは無く、極度な圧迫感は感じられません。
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この空間は「~座席」とは謳っているものの、やはり「座席にあらず」と思わせるのは個々の区画に設けられた側窓とそれに接する仕切り、読書灯のみならず区画灯までも個別に備わっているあたりでしょうか。ただ、やはり他車の完全個室化された寝台と決定的に異なるのは、いびき、寝息、歯軋りといった不可抗力から逃れる事が出来ないという点でして、ここで「やはり座席だな」と立ち返ってしまうのです(笑
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「サンライズ」の売りは完全個室化された寝台にあります。いわゆる昔ながらの開放型寝台の情趣も捨てがたいものがありますが、それが社会的に受け入れられないアコモデーションとなってしまったことは、東海道・山陽筋のブルトレが死滅し、そして電車という機動性を差し引いても「サンライズ」の生き残っている現実からして察することができましょう。隣人の見えない空間…それは現代社会そのものです。
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「瀬戸」の3号車と「出雲」の10号車にはフリースペースともいうべきミニラウンジがあります。ラウンジといっても側窓に沿ったテーブルと4脚のチェアが通路を挟んだ両側に設けられたシンプルなものですが、ノビノビ座席の旅客が食事を摂ったり個室の旅客同士での談話スペースとして有用なものです。我々も横浜発車直後から早速陣取り乾杯となったわけですが、一時的に腰掛けるという落ち着かない旅客も居り、何かと思えば隣接するシャワールームの利用待ち。いわゆるウェイティングスペースとしての機能もあるようです。
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そのシャワールームですが専務車掌からシャワーカードを購入して、1回あたり6分間の給湯と30分以内の利用という前提ですが、発車直後は考える事は皆同じなのか入れ替わり立ち代りで結構な繁盛振りです。「北斗星」のように利用時間の指定はなされないので、その機会を窺うには1室しかないシャワールーム付近で待機せねばならないのです。これではいつ利用できるかも判らないので、カード購入のうえ翌早朝の利用を決め込んで座席に横になります。ちなみに座席備え付けのリネンは毛布1枚と謎の布切れ?だけですから、枕等はセルフです。尤も今回は座席内の暖房がよく効いていたので毛布を枕代わりにして休みました。あまり眠れなかったのですが(汗
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そして翌早朝、気がつけばどこかの駅・・・うつろな目に「大阪」の文字が飛び込んできます。時刻表上では浜松~姫路間は無停車ですから運転停車ですね。程なく発車し私はというと例のシャワールームに向かいます。すると3号車は「使用中」・・・考えることは皆(ry てなわけで、ちょっと遠いですが「出雲」の10号車まで車内探検がてら出向いて見ます。画像のフラットフロアはソロの区画でしょうか。
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シングルに何部屋が空きがあったので外からチョッと失礼して見学。空室の場合は開扉というのが防犯を兼ねてデフォのようです。ここまで掲げた各車内画像は、どれも285系「サンライズ」という1本の列車におけるものです。二層式桟敷状の「ノビノビ座席」を始め、片側通路や中央通路、ダブルデッカー中央通路などのバリエーションはまさに「夢の回廊」。次はこの区画に乗りたい!と思わせるような造りにデザイン担当のセンスが光ります。「寝台列車全滅」の時代にあって「サンライズ」がかくも生き続けるのは、電車としての機動性はもとより旅客のニーズに叶ったアコモデーションが全てであるということを、今回の乗車で改めて強く悟らされた次第です。
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浜松を出て最初の客扱い駅は姫路。この駅に停車するのは需要以上に、実は前途運行不能時に新幹線への振替輸送をしやすくするため・・・と聞いたことがあります。そういえば私が姫路まで達したのも8年ぶり。建設中の高架橋が断続的に見えた地平駅の面影は微塵も無く、まさに浦島太郎の心境・・・「かんすい」を用いた独特の「駅そば」も久し振りに味わいたいものです。姫路から岡山まで、払暁の山陽路は時間的経過とともに美しいグラデーションに染まり行き、地表付近を覆い尽くすモヤとも相俟ってこの世とは思えぬほどの幻想的なシチュエーションが展開します。そう、これぞ夜行列車における醍醐味の一つである「夜明け」です。
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横浜から700キロ余り、6:27に岡山定刻到着です。ここでは我々を含めて纏まった降車がありました。
他の旅客はともかく、我々は讃岐へ行くのに何故?かというと・・・ここからはアノ列車に乗ります!

(つづく)
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by ar-2 | 2010-11-28 20:28 | 外出・旅行


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