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赤い電車は白い線

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2010年 11月 04日

肥沃の地に響くスルザーの咆哮(国鉄DF50-2/6茶色・長野機関区)

戦後の国鉄における無煙化施策の切り札として世に送り出されたDF50。DLとして初めて量産ベースに乗せられた形式ではあるものの、
電気式DL故のメンテの煩雑さや製造コストの高いこと、出力が不足がちで単機使用前提でありながら重連を組まざるを得ないケースが
多々あるなど、無煙化への貢献度を別とすればあらゆる面で課題を多く残した形式であったと言えます。
そんなわけですから後継のDD51が登場するに及び次第にDF50は勢力を縮小し、1980年代前半の四国における運用を終として引退したのです。

そのDF50というやはり「四国」のイメージがついて回りますが、過去における活躍拠点は秋田から宮崎までと広範囲に及んでいます。
そのなかでも個人的に意外に感じたのは郡山機関区配置車による磐越西線での運用、1960年代のみに見られたようです。
そして今回のモデルでもある長野機関区配置車ですが、DF50が活躍したエリアでは最も早い時期(1965年)に姿を消していますから、
相当マイナーな対象として捉えられるのではないかと思います。尤も、そんなアイテムを製品化してしまう有井も有井なわけですが(笑
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2005(平成17)年9月に有井からこの「DF50-2/6 茶色・長野機関区」は発売されましたが、出た当初の売れ方はどうだったのでしょうね。
私にとってはやはり「信州ゆかり」にして異色とも言える電気式DLですから、他のアイテムに手を染めつついつかは欲しいと思っていました。
定価ですとカ◎ーの車両セット程度ですが、先日立ち寄った某中古店では電気機関車1両分くらいの売価で並んでいました。
パッケージでは「長野機関区」と謳っているものの、その地域性に関わるガイド等の記述は一切無く、マイナーモデルの宿命?が漂っています。
これは前述の通り比較的早期に長野での活躍を終えていることが大きく作用しているのでしょうが、その謎めきはむしろ興味をそそられます。
肥沃の地に響くスルザーの咆哮(国鉄DF50-2/6茶色・長野機関区)_c0155803_22145813.jpg

モデルの2・6号機はDF50の0番台における極初期グループでして、前頭部の屋根が丸味を帯び前面窓も大きくなっているのが外観的特徴。
特にこのタイプのプラ完は「長野機関区」モデルのみとなっていますから、DF50ファンはオレンジ色に塗り替えたくなる向きもあるでしょう。
長野機関区に配置されていたDF50の活躍範囲は中央東線の甲府以西から長野まで、スイッチバックの駅や信号所を幾つも擁した
勾配線区をクリアするために重連での使用がデフォとなっていて、それも必ず1エンドが先頭(両端)となるようにペアを組んでいたようです。
それ故の特徴としてはタブレットキャッチャーとプロテクタが1エンド側にしか装備されておらず、モデルでもこれがきちんと再現されています。
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1エンドが常に両端となっていた明確な理由は存じませんが、恐らく2エンド側にあった煙道の吹き出し口を避けた結果と思うのですが如何でしょう。
SLに比べれば絶対量は少ないですが煙の出ることは同じですから、トンネル内等での視界確保への配慮があったのではと考えました。
その煙道は後年になって小型化されていますが、製造当初はモデルのように長いものでラジエータファンの手前にまで達していました。
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さて、肝心?のDF50とカップリングさせる列車の考証ですが、手許における唯一の写真記録がイカロス出版の新・名列車伝シリーズ6
「中央線の名列車」(2005年刊)の15項にある1962年に撮影された3号機先頭で塩尻峠を越える準急「穂高1号」のものです。
ナハ10系を主体とした茶色い旧客8?連は編成美を感じますが、これだけを見た限りでは旅客列車中心の充当だったのでしょうか。
果たして手許の資料で1961年4月の配置表を見ますと、長野機関区にはD50、D51、8600といったSLが37両に対して
DF50は僅か8両、すなわち4ペアしか在りませんから全ての旅客列車をカバーしきれていたとはちょっと考えにくいですし、
そうなってくると旅客列車限定にする理由も無い様に思え、結局のところはSLと混用されていたのでしょうか。

まあ旧客か黒い貨車を牽かせておけばとりあえずはサマには・・・ですね(汗 ちなみに同じ資料によるDF50の配置ナンバーは
1、2、3、4、5、6、9、33でして、前述の極初期グループに該当するのが1~6号機、9号機と33号機はオーソドックスな外観となります。
茶色のDF50というとトミーからもラインナップされていますから、それを9号機か33号機に見立てて本モデルのトレーラー(6号機)
と組ませても面白いかも知れません。それとやはり気になるのは各ナンバーの「向き」ですよね。
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モデルの質としては有井らしいというか、やたら長い連結面間隔やON/OFFスイッチを備えておらず連結面でも点灯してしまう前照灯など
ツッコミどころも押さえて?ありますが、茶色い車体に映える白帯が好印象。「機関車は青や橙より茶」という私にとっても堪らないものです。
発売されてからそれなりに時間が経っていますが、それほどのレアアイテムというわけでもなく(むしろ製品化自体がレアと言えます)、
その気?になれば新品・中古のいずれでも入手は容易なようです。ただ、時代考証や地域的な設定が極めて限定的ですから
嗜好の差にもまれやすいアイテムではあります。尤も、それは市井に溢れるモデルの殆どについて言えてしまうわけですが・・・。

とりあえずはナハ10系(カトーのナハ11)を茶色く塗ってしまいたいところですが、保有するナハ11でこれをやってしまうと急行「白山」の晩年
編成が組めなくなるという(ry 気長に再生産を待つわけにも行きませんから悩ましいですが、とりあえずは他形式の旧客を組成してみましょうか・・・。

by ar-2 | 2010-11-04 22:48 | 鉄道模型(国鉄・JR)


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