2010年 10月 19日
803Fに揺られて3度目4日目の豊郷へ。 いよいよ「とよさとアニソンライブ」の観覧へと参じます。 すっかり御馴染みとなった近江鉄道豊郷駅。 前夜からの降雨はまるで止む気配を見せませんが、それより何より私自身が履いてくる靴をトチったため、足元がこの時点で悲惨な状態に・・・。 そんなわけでライブの開演まで時間があるので中山道沿いの「玉屋」さん(うどん店)にでも・・・という案を改め直に旧校舎群に向かいます。 豊郷駅からの道程はいつも通りの中山道沿いですが、これまでの訪豊でも目にしてきた気になる物件があります。 それは画像にあるような家屋の妻にある「水」の切り抜き文字です。そう、多賀大社の門前町である多賀の参道沿いでも見たそれです。 旧校舎群までに2軒、更に旧校舎群敷地に隣接して同仕様と思しき家屋が見えました(未確認)。 この「水」という解り易いほどの文字表現は率直な印象を申し上げますと、まるで「おまじない」のように思えました。 というのは豊郷に限らず近江は穀倉地帯にして稲作が主産業であったにも関わらず、古くから水利に恵まれず度々干ばつによる被害に 見舞われてきた経緯がある・・・ということを旧聞にしていたからです。つまり、稲作に絶対必要なものは「水」であるが故にということです。 今回のライブにあわせて旧校舎群敷地内では町商工会による出店もなされ、一角では観光協会による物産の展示&販売も見えます。 そこにはかの銘酒「金亀」のサンプルがありまして、私としては本能的?に気になったので色々お話を窺ったところ、やはり旧校舎群内では 販売ができず(免許でしょうね)、岡村本家さんで購入するか平日であれば色々取り計らいも・・・とご案内いただきました。 その折に件の「水」画像を見ていただき真意を窺ったところ、断定的ではないという前提ながらも興味深い情報を頂きました。 この「水」を有す家屋に共通するものとしてどれも「勾配を有すトタン屋根」となっていますが、これは先天的なものではなく元来は「藁葺き屋根」 であったというのです。資材となる稲藁の入手に不自由しない立地となると農村部、つまり穀倉地帯の近江では標準であったわけです。 しかし、多聞に漏れない過疎化等によって屋根の葺き替えを行う人手が足らなくなり、次第に藁葺き屋根はトタン屋根へと変状していったのです。 このことからも、「水」を有すいずれの家屋もまずトタン屋根でありかつての「農家」と推定することができ、古来水利に恵まれなかった 境遇を鑑みれば、「水の一滴は血の一滴」とまで言われた穀倉地帯の切なる祈りにも通ずる願いが伝わってくるように思えるのです。 そしてもう一つ、豊郷町には「雨降野」という地名がありますが、これも水利に不遇であった時代の度重なる「雨乞い」によって ようやくその降雨に恵まれたことを喜び、「雨降野」(あめふりの)という地名を制定したのだそうです(諸説あります)。 いずれのエピソードからも、豊郷を含めた近江の穀倉地帯における「水」との関わりの強さを感ぜずにはいられませんでした。 結局、これら家屋における「水」についての明確な根源を得ることは出来ませんでしたが、次回の訪豊時に再びアプローチしたいと思います。 折りしも・・・今日は「生憎」の雨模様ですが、これとて時代が違えば「干天の慈雨」であったろうと思うと実に感慨深いものです。 部室から眺めた校舎前のビューは、まるで2期6話の挿入BGM「Happy rainy day」が聞こえてきそうな佇まい。 ちなみにこの「Happy~」は2期24話(通常クール最終回)での在校生が卒業生の胸に花を付けるシーンでも流れますが、 個人的にはやはりタイトルからしても雨の日を連想させる曲ですね。 「とよさとアニソンライブ2010」 14:00開場、14:30開演。 音楽的な事は私は門外漢ですから専門的な論評は出来ませんが・・・ただ、あの講堂で得たものは「全身で感じる」という ライブの迫力、ボルテージ、臨場感、その全てが一体となった「空気」は筆舌に尽くしがたいものだったということです。 開演中は撮影行為は禁止されていましたので(報道機関と催行側は除く)、当日の様子についてはこちらを参照いただければと。 http://bushitsu.blog47.fc2.com/blog-entry-595.html ライブは予定よりもやや早く閉演し、充実感を胸に講堂を後にします。関連イベントとして予定されていたライトアップですが、 悪天候につき屋外は中止されたものの、屋内については電球色の灯りが格子状の窓から漏れるこの上ない演出がなされました。 飽きもせず3度目の訪豊となりましたが、ライトアップのなされた校舎を目にすればこの建物が世に残った幸運に感激せずにはいられません。 旅の終わりは切なくて・・・。訪豊復路の新幹線乗車は2度目ですが、またもや300系でした。 なかなか劇中でも描画された700系とは遭わないなあ・・・と思うも、走行中のボルト脱落等初期トラブルの続出で散々叩かれながらも 21世紀への「SHINKANSEN」のスタンダードを確立させた功名は決して忘れがたいものがあります。 かつてモハ80形湘南電車、キハ81「はつかり」形はいずれも初期トラブルの連続で「遭難電車」「特急がっかり」という汚名を頂戴させられましたが、 後世において「名車」として語り継がれているのは記すまでもありません。やがて、300系にもそんな時代が来るのでしょうか。 復路は時間的な兼ね合いから「ひかり528号」の乗車となりましたが、割当比率の観点から指定席をチョイスしました。 米原から岐阜羽島、名古屋、小田原とアッと言う間。背もたれを倒せば「非日常」に彩られた2日間の記憶は駆け巡り、 次回の旅程への期待を呼び覚まし明日へのエネルギーの糧となるのです。いざ豊郷へ、次なるその機会を心待ちにしています。 (おわり)
by ar-2
| 2010-10-19 23:29
| 外出・旅行
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