赤い電車は白い線

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2009年 07月 21日

横浜市電~久良岐公園と市電保存館を訪ねて

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先日購入したRMライブラリーの「横浜市電」上・下巻を熟読し、改めて横浜市電の特色を知れたように思います。前にも記しましたが車両史にスポットを当てた刊行物は少なく、大変為に?なりまた刺激も受けました。今回は予習もバッチリということで先の野毛山動物園の1518号に続き、磯子区の久良岐公園と市電保存館にその姿を訪ねてきました。




まずは上大岡まで地下鉄で出、そこから市バスの64系統磯子駅行で久良岐公園に向かいます。乗車時にドライバーから一日乗車券を購入。市バスの一日乗車券は¥600という3回乗車でモトのとれるトクトク券ではあるものの、近年は市バスの路線統廃合や民間移譲が進み、市バスが乗り入れなくなったエリアがどんどん増えているので乗り継ぎルートには頭を悩ませます。

上大岡からの64系統は磯子営業所の西工ボディに乗車。昔は港南営業所のブルリオンリーだったのですが…浦島太郎ですね。鎌倉街道から分かれたあたりの狭隘路も幾分改良されていて、昔日を偲びながらバスに揺られて行きます。やがて浜小学校前、ここで下車します。汐見台団地内の急な上り坂を抜け、少々迷いながらなんとか到着…。
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事前のサーチで判ってはいましたが、やはり荒廃しています。霧雨のパラつく園内のシチュエーションとも相俟って、一層うら淋しく思えます。ここ久良岐公園に保存されている横浜市電は1150形の1156号。先に登場した1500形と同様の車体を有しつつも、主要機器を発生品で賄ったコストダウン車。1150形の保存車としては他に港北区勝田団地の集会所として1161号、緑区(現・青葉区)のこどもの国の1165号がありましたが、いずれも現存せずここ久良岐公園が最後の1150形の現存個体です。
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現在、車内は非公開のようです。無理もありませんが…ガラスは殆どありません。運転台機器やビューゲルは割合ちゃんと?残っています。
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足回りに床下機器やモーターは無くスッカスカ。これは保存に際してそうされたのかも知れません。車体のガムテープでの補修痕が痛々しいです。
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反対側は、番号板の「1」が欠落して156号になっています。この状態で持ちこたえているのはある意味奇跡かも知れませんね。一通りの観察を追えて久良岐公園を後にして坂道を下り、こんどは広町バス停に出ます。浜小学校前からと大差はありませんね。ここから78系統根岸駅行に乗車し市電保存館へ。停留所もそのものズバリの「市電保存館前」があります。
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ここには何年か前にも来たことがあるのですが…今回は意気込みが違います。
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いきなりですが定点対比!?
今から23年前、家族でここを訪れた際のスナップです。左隅に僅かに写る3E非冷房やD3、5Eに軽く興奮(笑
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入館してチケット(¥100)を求めると、受付兼売店嬢?のオバチャンが「いらっしゃいませ、こんにちは」とコンビニばりの挨拶。まあ素っ気ないのよりはと思っていたら、間もなく鉄道模型の運転が始まるとの親切な案内…意外でした。その案内に釣られて足早に奥にある鉄道模型パノラマに向かいます。ここには珍しい常設のOゲージパノラマがあります。その反対側には16番のパノラマ、さらに脇裏手には9ミリ(コンパクトなレイアウトですが)と、至れり尽くせりなのです。
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市電保存館ですから勿論市電は欠かせません。Oゲージという段でほぼ手作りでしょうか、1000形が疾走!前尾照灯も点いてステキです。
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往年のロマンスカー1100形も!いいなぁ~。
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夏休み前にお目見えしたばかりという、グリーンライン10000形のOゲージモデル!勿論ここだけでしか見られないでしょう。
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一応16番パノラマも。Oゲージを見た後ですとやたら小さく見えます。9ミリに至ってはそりゃもう(ry
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模型を堪能した後は実物見学です。市営住宅直下に収蔵された7両の市電車両は、屋内ということもあり割合良好な状態ではありますが、やはり部分的な痛みも見られます。ナマモノですから難しいですよね…。で、ふと思ったのは入館料が¥100ということで、以前は確か¥200だったような?値下げ自体は迎合されるでしょうが、保存車両の維持管理という観点を慮れば決して¥200でも高いとは思わないのですが…横浜市ってそんなに財政潤ってましたっけ?
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それでは各車を紹介しましょう。まずは2軸単車の500形523号(Ⅱ)。実車は538(Ⅰ)号として1928(昭和3)年に製造。戦後の整理改番で523号(Ⅱ)となりました。523(Ⅱ)は昭和47年の市電全廃時の花電車の先導車を勤めていますが、履歴では昭和44年に廃車されています。この先導車時のみ車籍復活したのでしょうか?興味深いです。保存館でのカラーは登場時のもの。片エンドはシミュレータ構造となっています。
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次いで1000形1007号車(画像手前)。1928(昭和3)年製の市電初のボギー車。似たようなスタイルのクルマが名古屋市に居ましたね。
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車内です。床板が波打っているように見えるのは仕様でして、台車の部分が盛り上がっています。逆に考えれば乗降口にかけてはスロープになっている親切設計なのでしょうか…。何あれ、半鋼製の車内はいつ見てもイイ味です。
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そしてお待ちかね?の1100形1104号です!私はコレを観察したくて来たのですよ、実は。23年前に始めて目にした折には、前面が傾斜した妙な電車というイメージを持っていたように思いますが、今はそれがあの「流線型」ブームに倣ったものと知れば、なかなかどうして血が騒ぐのです。クモハ52やC53・55、EF55のお仲間!
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1936(昭和11)年生まれのモダンボーイ、凝った意匠は前面だけではありません。なんと側面も腰板より上をほんの少し絞っています。画像はその車内ですが、何となく車内側に傾斜しているのが判るでしょうか。大袈裟に言えば大江戸線のアレです。この1100形、登場時は点対称に配された集団離反様式のクロスシートや、リコ式吊り手に六角形カバーの室内灯など、まさにロマンスカーの名に相応しいスペックであったとか。保存車にその面影はありませんが、良き時代に思いを馳せたいものです。
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その絞られた側面部です。側扉はというと絞られてはおらず、やや奥まって?設置されているようです。両端扉配置の1100は経年の中型車ながらワンマンカーに向いていたようで、5台全車が市電全廃まで活躍しました。
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車内のみで失礼しますが、1300形1311号です。3000形として1947(昭和22)年に製造され翌年1300形に改められました。大形車として威力を発揮しましたが、1971(昭和46)年に廃車となりました。
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当時の広告でしょうか…。
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1600形1601号。横浜市電最後の新形式でして、1957(昭和32)年に滝頭の局工場で製造された4枚折り戸が特徴のクルマ。足回りは吊り掛けであったものの内装は金属化され一新。側扉は前・中で両側面非対称配置というものでしたが、これがワンマン化に際して仇となったようで対象から外れ、最新形式にも関わらず市電全廃まで生き残れませんでした。ブルーと白の塗り分けは登場時のもの。車体造作の時代考証からはズレますが、そうはいってもこのカラーがまた何とも似合っています。
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1500形1510号車。1951(昭和26)年製で軸梁式防振台車を採り入れた意欲作。横浜市電におけるベストセラーとも言え市電全廃まで活躍。
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側面の鉄製広告は当時のものでしょうか…。車体が褪色しているように見えますがこれは昭和39年頃までの仕様でして、現車が最後までこのカラーであったかは判りませんが、その再現ということなのでしょうか。クリームが濃くなったのは視認性向上が目的だったとのことです。
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1948(昭和23)年に300形を改造して製造されたという電動貨車10号。市電全廃時の花電車を担った栄誉ある車両です。それにしてもこのような貨車が残っているのも嬉しいですね。都電の神明町にも乙型貨車がありますが、屋外ではいささか心配です。
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片隅には市バスの料金箱が…。右の薄緑色のものが古いタイプで、左のクリーム色のものは近年までメジャーだったタイプです。現在はパスモ対応の最新式になっています。それにしても薄緑色のハコは懐かしいです。

路面電車の保存館といえば仙台市や名古屋市、限定公開ながら大阪市にもありますが、常設でもあり且つ纏まった展示車両を有するここ横浜市電保存館は、全国的に見ても屈指の路面電車博物館と言えましょう。車両以外の展示物もレールや保線器具、ビューゲルにホイール式トロリーポール、ポールトップ(架線柱のアタマの装飾)に運転士の免許など等、見所イッパイ。今年で開館36年(!)を迎えますが、ますます健在な横浜市電保存館でした。

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・おまけ

26年前の1983(昭和58)年に家族で訪れたこどもの国。そこにあった1150形1165号。
バス窓を有する後期形ですが、すでにHゴムもガラスも無くボロボロ。撤去も早かったようで記録をあまり見ません。
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by ar-2 | 2009-07-21 20:01 | 保存車両を訪ねて


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